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フラワーショウ！（DARE
TO BE WILD）
（2014年 アイルランド）（上映時間1時間40分）
監督・脚本：ヴィヴィアンヌ・ドゥ・クルシ
出演：エマ・グリーンウェル、トム・ヒューズ、クリスティーン・マルツァー
ノ、ジャニー・ディー、アレックス・マックイーン
＊ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほかにて全国公開
ホームページ http://flowershow.jp/
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＜ストーリー＞
アイルランドの片田舎で育ったメアリー（エマ・グリーンウェル）は、有名
ガーデン・デザイナーのシャーロットのアシスタントを務めるものの、さんざ
んこき使われた挙句に描きためたデザインノートを盗まれ、クビになってしま
う。夢を諦めきれないメアリーは、世界中の注目が集まるチェルシー・フラ
ワーショーでの金メダルを目指す。2000件もの応募の中から、たった８枠しか
ない出場権を獲得するが、資金繰りや協力者探しは難航。それでも植物学者ク
リスティ（トム・ヒューズ）や風変わりな庭師たちとともに優勝を目指すのだ
が……。
＜レビュー＞
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大自然の魅力とともに描かれるある女性のサクセスストーリー
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イギリスには、100年以上の歴史を誇る世界最高峰のガーデニング大会「チェル
シー・フラワーショー」というものがあるそうです。そこで、2002年に史上最
年少で優勝したアイルランドのメアリー・レイノルズという景観デザイナーの
実話を映画化しました。
早い話がアイルランドの無名の女性のサクセスストーリーなわけです。主人公
のメアリーは庭園デザイナーになりたくて、首都のダブリンに出て有名デザイ
ナーのアシスタントに採用されるものの、こき使われてデザインノートを盗ま
れて、クビになってしまいます。そこで一念発起して、「チェルシー・フラ
ワーショー」の金メダルを目指す彼女の奮闘ぶりが描かれます。
実話がベースとはいうものの、「ホンマかいな？」と思うようなところがたく
さんある映画です。例えば、メアリーを利用する有名デザイナー。なんだか昔
の大映ドラマにでも出てきそうなステレオタイプな高慢女です。メアリーがい
ったん断られた大会の出場権を獲得する経緯なども、「都合よすぎじゃない
の？」と思ってしまいます。
それでもこのドラマには捨てがたい味わいがあります。それは「大自然」とい
う大きなテーマが背景にあるから。冒頭、メアリーの幼少時代が描かれます。
それはアイルランドの圧倒的に豊かで神秘的な自然との触れ合いです。その経
験が根底にあることで、メアリーは常に自然をデザインの中心に据えます。
「ケルトの聖域」と題した大会の応募作も、野草とサンザシの木を中心に構成
されています。
そうした事情をバックに、この映画にはあちらこちらで自然の風景をとらえた
映像が登場します。それが実に美しく見事なのです。まさに詩情あふれる映像
です。
ドラマの中盤では、アフリカの緑化に情熱を傾ける植物学者クリスティの協力
を得るために、メアリーは自らエチオピアに出かけます。そこではエチオピア
の大自然と、地元の人々の文化も描かれます。それらも、この映画の大きな見
どころです。さらには、そのクリスティとメアリーのロマンスも……。
後半は、資金難なども乗り越えて、ついに庭園づくりに着手するクリスティの
姿が描かれます。一般的な庭とは異質なユニークなデザインが形になっていく
様子は、なかなか見応えがあります。そこでは、チャールズ皇太子も登場。
そして、ラストはついに……。結果は最初からわかっているのですが、それで
も高揚感が漂います。そのあたり、誰もが楽しめるエンタティメントとしても、
よくできた映画だと思います。
同時に、自然を重視するメアリーのデザインのポリシーを通して、自然保護の
重要性を訴える作り手たちのメッセージも明確に伝わってきます。それがこの
映画の最大の魅力かもしれません。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（86点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2016年7月9日（土）ヒューマントラストシネマ有楽町にて。午後1時20分の回
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