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ヘイル、シーザー！（HAIL, CAESAR!）
（2016年 アメリカ）（上映時間1時間46分）
監督・脚本：ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
出演：ジョシュ・ブローリン、ジョージ・クルーニー、オールデン・エアエン
ライク、レイフ・ファインズ、ジョナ・ヒル、スカーレット・ヨハンソン、フ
ランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントン、チャニング・テイタム
＊TOHOシネマズ シャンテほかにて全国公開
ホームページ http://hailcaesar.jp/
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＜ストーリー＞
1950年代のハリウッド。エディ・マニックス（ジョシュ・ブローリン）は、映
画スタジオ内で起こるトラブルに対応する「何でも屋」だった。そんな中、ス
タジオでは歴史スペクタクル大作『ヘイル、シーザー！』の撮影が行われてい
た。ところが、撮影中に主演俳優ウィットロック（ジョージ・クルーニー）が
誘拐される大事件が発生する。さっそく事件解決に動き出すエディだったが…
…。
＜レビュー＞
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ハリウッド黄金時代の大騒動をコーエン節で描く
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コーエン兄弟の新作です。いろんな映画を撮っているコーエン監督ですが、ど
の作品を観ても彼らの作品だとわかります。そういう意味では、ウディ・アレ
ンあたりと同じぐらい超個性的な監督といえるかもしれません。
この映画もオープニングからコーエン節が全開。主人公は映画会社の「何でも
屋」（一応、偉い肩書きはついてますが）のエディ。スターのトラブルを解決
したり、監督をなだめすかしたりと、大忙しの毎日です。そんな中、古代ロー
マを描く歴史大作映画『ヘイル、シーザー！』の主演俳優のウィットロックが
誘拐されてしまいます。エディはすぐに解決に乗り出しますが……。
というわけで、誘拐事件の顛末が中心ではあるものの、それ以外にも様々なエ
ピソードがテンコ盛り。人魚姫を演じるセクシー女優の妊娠騒動や、大根役者
の若手俳優に愛想をつかす有名監督などなど。そこに双子の女性ゴシップ記者
が絡んだり、主人公のエディ自身にもロッキード社からの引き抜き話が舞い込
みます。
これだけたくさんのエピソードがあって、本筋の誘拐事件の影が薄まっている
のがこの映画の欠点。ただし、それは逆にお楽しみが満載だということでもあ
るので、まあ仕方ないかもしれませんね。
特に面白いのが、昔のハリウッド黄金時代の再現シーン。ツウな映画ファンな
らずとも「ああいう俳優や監督いたよなぁ〜」「ああいう映画あったよなぁ
〜」と思わずニヤリとしてしまいます。登場する劇中劇も本格的。『ヘイル、
シーザー！』だけでなく、人魚姫がシンクロナイズド・スイミングチームと水
中で舞ったり、水夫たちがバーで歌い踊ったり、どれも見事な出来栄えです。
もちろんコーエン兄弟らしいシ二カルな笑いもたっぷりあります。
役者たちが喜々として演じているのも楽しさの源泉。何でも屋役のジョジュ・
ブローリン、スター俳優役のジョージ・クルーニー、大根役者のオールデン・
エアエンライク、有名監督役のレイフ・ファインズ、セクシー女優役のスカー
レット・ヨハンソン、謎のベテラン編集者役のフランシス・マクドーマンド、
双子のゴシップ記者役のティルダ・スウィントン、ミュージカルスター役のチ
ャニング・テイタムなど、どれも存在感たっぷりです。
特に、自分を誘拐した共産主義グループに感化されていくあたりのジョージ・
クルーニーの演技は、文句なしに笑えます。
この映画、時代考証なんかはメチャクチャみたいだし、誘拐事件の展開も穴だ
らけなのですが、そういうことをあまり感じさせない楽しさです。「昔のハリ
ウッドって、こんなにどうしようもないところだけど、それでも愛すべき存在
だったよね」というコーエン兄弟の苦笑が見えるような気がします。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（85点）
（田中ひろあき）
2016年5月16日（月）TOHOシネマズ シャンテにて。午後12時25分の回
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