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俳優 亀岡拓次
（2015年 日本）（上映時間2時間3分）
監督：横浜聡子
出演：安田顕、麻生久美子、宇野祥平、新井浩文、染谷将太、浅香航大、杉田
かおる、工藤夕貴、大森立嗣、野嵜好美、不破万作、三田佳子、山崎努
＊テアトル新宿ほかにて全国公開
ホームページ http://kametaku.com/
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＜ストーリー＞
脇役がメインの俳優人生を送る37歳独身の亀岡拓次（安田顕）。小器用さが評
価されて仕事は途切れず、どんな役でも断らない。お酒好きで女好き、そして
寂しがり屋。撮影現場と酒場を行き来する亀岡は、ある日、ロケ先の諏訪で立
ち寄った居酒屋の店主の美しい娘・安曇（麻生久美子）に恋してしまうのだが
……。
＜レビュー＞
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脇役俳優の恋と日常をユニークすぎる映像でつづる
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テレビや映画でよく見かけるものの、名前がすぐには思い浮かばない。そんな
脇役俳優がたくさんいます。戌井昭人の小説を映画化したこの作品の主人公は、
まさにそんな人物。
冒頭はドラマの撮影シーン。主人公の俳優・亀岡拓次があっさり死んで監督に
ほめられます。37歳独身の彼は、スポットライトこそ浴びていないものの、何
でも演じられる小器用さが監督やスタッフに評価されて、仕事が途切れること
はありません。そして、彼はお酒好きで女好き。なので、毎日、撮影現場と酒
場を往復して暮らしています。そんなある日、地方のロケ先でたまたま立ち寄
った居酒屋で、亀岡は店主の美しい娘と出会って、ひとめぼれしてしまいます。
というわけで、武骨な脇役俳優のピュアな恋愛ドラマかと思いきや、恋の話の
続きは終盤まで登場しません。その間に何が起きるかというと、様々な現場で
演技する亀岡の日常。舞台に初めてチャレンジして大女優から厳しい指導を受
けたり、スペインの有名監督から新作のオーディションの話が来て受けに行っ
たり。
ただし、それが普通に描かれるわけではありません。現実なのか夢なのか、よ
くわからないシュールでファンタスティックなシーンの連続。リアルさはない
代わりに、独特の魅力を発しています。
この映画の横浜聡子監督は、『ジャーマン＋雨』『ウルトラミラクルラブス
トーリー』など、かなり変わった映画を撮る監督。今回もそんな個性が全開で
す。現実と虚構のはざまのような映像は、虚構を演じながら現実に生きる、主
人公の人生そのものを投影したものなのでしょうか。
意表を突いたシーンの連続で時間があっという間に過ぎていきました。笑いが
テンコ盛りなのも、楽しく観られる理由。ベタな笑いもあるものの、基本はオ
フビートな笑い。バーで元歌手のホステスがマジに歌うシーンなど、よくわか
らないけどおかしさがこみあげてきてしまいます。
亀岡の恋の顛末はありがちなもの。ですが、そこでもファンタジックかつケレ
ン味あるシーンで、笑わせてくれます。観終わった後味は悪くありません。映
画館を出る時には、ホッコリとした気持ちになれました。
ただし、普通のドラマではないだけに、安直な感情移入や感動などは味わえま
せん。それを期待して観るときっと裏切られます。ご注意を。
同じ「TEAM
NACS」でも、大泉洋に比べて地味な存在の安田顕が、まさにハマリ
役。何とも味のある演技を見せています。そして、麻生久美子は今もやっぱり
映画のミューズ！
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（88点）
（田中ひろあき）
2016年1月31日（日）テアトル新宿にて。午後1時30分の回
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