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ヘイトフル・エイト（THE HATEFUL EIGHT）
（2015年 アメリカ）（上映時間2時間48分）
監督・脚本：クエンティン・タランティーノ
出演：サミュエル・Ｌ・ジャクソン、カート・ラッセル、ジェニファー・ジェ
イソン・リー、ウォルトン・ゴギンズ、デミアン・ビチル、ティム・ロス、マ
イケル・マドセン、ブルース・ダーン
＊新宿ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://gaga.ne.jp/hateful8/
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＜ストーリー＞
南北戦争後のワイオミング。賞金稼ぎのジョン・ルース（カート・ラッセル）
と手錠をはめられた女デイジー・ドメルグ（ジェニファー・ジェイソン・
リー）が乗る駅馬車に、元騎兵隊の賞金稼ぎマーキス・ウォーレン（サミュエ
ル・Ｌ・ジャクソン）と新任保安官だというクリス・マニックス（ウォルト
ン・ゴギンズ）が相次いで乗り込む。彼らは猛吹雪の中でミニーの紳士洋品店
という店に立ち寄るが、店主の姿はなく、見知らぬメキシコ人のボブが店番を
していた。おまけに、そこには絞首刑執行人オズワルド・モブレー（ティム・
ロス）、カウボーイのジョー・ゲージ（マイケル・マドセン）、南軍の元将軍
サンディ・スミザーズ（ブルース・ダーン）という３人の先客がいた。こうし
て８人が一緒に過ごすことになるのだが……。
＜レビュー＞
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ひたすら面白さを追求するタランティーノ監督
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鬼才クエンティン・タランティーノ監督の長編第８作目の映画です。
舞台は南北戦争後のアメリカ。冒頭は雄大な雪山の風景が映し出されます。ま
もなく登場する１台の駅馬車。そこに乗るのは賞金稼ぎの男ルースと手錠をは
められた１万ドルの賞金首の女ドメルグ。そこにもう１人の賞金稼ぎウォーレ
ンと新任保安官マニックスが相次いで乗り込んできます。彼らは猛吹雪の中を
目的地の途中にあるミニーの紳士洋品店を目指します。
というわけで、前半は馬車の中の４人の会話が中心。そこから、それぞれの素
性が浮かび上がってくるのですが、それがどこまで本当なのかよくわかりませ
ん。怪しい雰囲気が漂ったまま、やがて４人はミニーの紳士洋品店に到着しま
す。
ここまでの展開はやや冗長。最後のほうは眠たくなってしまいました。ところ
が、そこから先は一気に目が覚めました。
ミニーの紳士用品店に肝心の店主のミニーや従業員は不在で、留守番役を自称
するボブというメキシコ人が出てきます。そして店には先客として、英国なま
りの死刑執行人、南軍の老将軍、カウボーイがいます。この４人とも怪しすぎ
る人物です。
こうして雪に閉ざされた密室劇がスタート。予測不能の展開でスクリーンに目
が釘付けです。いったい誰が本当のことを言っていて誰が嘘をついているのか。
誰が敵で誰が味方なのか。まったく先が読めません。ある殺人事件をきっかけ
に、南北戦争の遺恨と犯罪者の奪還をめぐって、話は想像を超えたところへ向
かいます。
168分の長尺、饒舌なセリフ、章立ての進行など、タランティーノらしさが炸裂。
時間を前後させるタランティーノ作品ではおなじみの仕掛けも、効果的に使わ
れています。リンカーンの手紙などの小道具の使い方も巧み。伏線の張り方も
ぬかりはありません。
さらに今回は、巨匠エンニオ・モリコーネによる音楽、70ミリのフィルムで撮
影された映像など、いつも以上にパワーアップ。
壮絶なラストも必見。「そして誰もいなくなる」的な展開が、いかにもタラン
ティーノらしいところ。「面白ければ、それで文句ないでしょ」とばかりにひ
たすら面白さの追求に走るタランティーノ。本来ならこの手の映画は好きでな
い私ですが、ここまで潔い姿勢には素直に感服です。
あまりにも濃すぎる役者たちの演技もこの映画の大きな魅力。特にカート・ラ
ッセルに殴られ続け、最後は血まみれになるジェニファー・ジェイソン・リー
の怪演が破格です。
タランティーノ作品が好きな人ならきっと満足できるはず。そうでない人も一
見の価値があります。ただし、これもまたタランティーノ作品らしく暴力描写
は過激。血ヘドをドバッはまだしも顔面ぶっ飛びシーンなどもあるのでご注意
を。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（90点）
（田中ひろあき）
2016年2月27日（土）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時の回
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