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神様メール（LE
TOUT NOUVEAU TESTAMENT）
（2015年 ベルギー・フランス・ルクセンブルク）（上映時間1時間55分）
監督：ジャコ・ヴァン・ドルマル
出演：ブノワ・ポールヴールド、カトリーヌ・ドヌーヴ、フランソワ・ダミア
ン、ヨランド・モロー、ピリ・グロイン、ローラ・ファーリンデン、セルジ
ュ・ラヴィリエール、ディディエ・ドゥ・ネック、ロマン・ゲラン、マルコ・
ロレンツィーニ、ダヴィッド・ミュルジア
＊TOHOシネマズシャンテほかにて全国公開
ホームページ http://kamisama.asmik-ace.co.jp/
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＜ストーリー＞
ブリュッセルの街で家族と暮らす神様（ブノワ・ポールヴールド）は、パソコ
ンで世界を管理し、面白半分に事故や災害を起こしていた。そんな父に反発す
る10歳の娘エア（ピリ・グロイン）は、父のパソコンで世界中の人々に余命を
知らせるメール送信してしまう。そのまま家出したエアは、６人の使徒を探す
旅に出るのだが……。
＜レビュー＞
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神様の娘が全人類に余命宣告する奇想天外なファンタジー
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邦題を聞くと、ホンワカしたハートウォームなコメディーのように思うかもし
れません。しかし、この映画、相当にシニカルでアクの強い作品です。
神様が登場する映画です。しかし、この神様ときたら、人間と同じ姿かたちで
ブリュッセルの街で普通に暮らしています。しかも、パソコンを使って人々に
様々な災いを起こし、それを見て喜んでいるというヒネクレたおっさんです。
彼には妻と娘がいるのですが、やたらと横暴な態度で接します。
いやぁ〜、何ともユニークな設定ですね。何やら、宗教を皮肉っているといえ
なくもありませんが、そんなに難しかったり、シリアスな映画ではありません。
この映画で活躍するのは神様の娘エア。父の横暴ぶりに反発した彼女は、父の
パソコンから勝手に、世界中の人々に余命を知らせるメールを送ってしまいま
す。そして、兄のＪＣ（＝イエス・キリスト）のアドバイスで、彼が集めた十
二使徒にプラスして６人の使途を集めるため（18人になると野球ができる！）、
家出して地上に向かいます。
当然ながら地上は大混乱。そんな中、６人の使途を次々に訪ねるエア。これが
またヘンな人ばっかりなんです。冒険家になりたかった会社員、殺し屋に転身
したセールスマン、夫との関係が冷え切った主婦、自称性的妄想者などなど。
そういう人たちと会って、エアは彼らの中の音楽を聞きだし、奇跡を起こして
いきます。例えば冒険家は鳥を追い北極へ行き、殺し屋は美女と出会い、主婦
はゴリラと恋に落ちます（演じるのは何とカトリーヌ・ドヌーヴ）。
ストーリーを聞いただけでも奇想天外ですが、それをまた奇想天外なタッチで
描きます。登場人物の記憶や妄想、夢の世界をＣＧなども使いながら映像化。
手がテーブルの上でダンスを踊ったり、突然、人間の周りに花びらが現れたり。
おもちゃ箱をひっくり返したようなハチャメチャさです。本当によくこんなこ
とを考えるものです。
笑いもテンコ盛り。シニカルな笑いはもちろんベタな笑いもあります。ジャ
ン・クロード・ヴァンダムや「ドラゴンへの道」のカンフーネタなどで笑わせ
ます。娘を追ってきた神様のあわれな運命も観客の笑いを誘います。
ラストでは、意外な人物の意外な行動によって、世の中に大きな奇跡が巻き起
こります。これまたハチャメチャで楽しくて、優しい気持ちになれるエンディ
ングです。
エア役のピリ・グロインがなかなかキュート。神様役のブノワ・ポールヴール
ドなど、その他のキャストも存在感があります。
宗教や社会に対する風刺やパロディーが満載だし、余命宣告という設定の中で
人生についても考えさせられる映画ですが、小難しく考えないでユニークなス
トーリー展開や映像を楽しむのがベスト。アクが強いだけに好き嫌いは分かれ
そうですが、ハマる人は相当にハマりそうな映画です。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（89点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2016年6月4日（土）TOHOシネマズ新宿にて。午後1時40分の回
[「か」のページ]
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