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家族はつらいよ
（2016年 日本）（上映時間1時間48分）
監督：山田洋次
出演：橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木
聡、蒼井優、小林稔侍、風吹ジュン、中村鷹之資、丸山歩夢、笹野高史、木場
勝己、笑福亭鶴瓶
＊丸の内ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://kazoku-tsuraiyo.jp/
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＜ストーリー＞
東京郊外の三世代同居住宅に住む平田夫妻。夫の周造（橋爪功）はもうすぐ誕
生日を迎える妻の富子（吉行和子）からプレゼントをねだられる。それは離婚
届への署名・捺印だった。突如として持ち上がった離婚話に、子供たちは大慌
てする。長男・幸之助（西村雅彦）とその妻・史枝（夏川結衣）、長女・成子
（中嶋朋子）と夫・泰蔵（林家正蔵）、次男・庄太（妻夫木聡）と恋人・憲子
（蒼井優）。彼らが顔を揃えて、家族会議が開かれることになるのだが……。
＜レビュー＞
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絶妙のキャストのアンサンブルで描く家族の喜劇
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名匠・山田洋次監督が、2012年の『東京家族』のキャストで「今度は喜劇を撮
れば面白いのでは？」と考えて作った映画です。
父が突然母から離婚届を突き付けられて大慌て。息子や娘たちは驚いて、事態
収拾のために家族会議を開くものの、それぞれが抱えてきた不満が噴出し……
というお話。
話はありがちですが、さすがに芸達者たちのキャストが絶妙のアンサンブルで
笑いを生み出しています。橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、
林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優がそれぞれに個性を発揮。
前半から中盤にかけては、母の離婚理由がわからないため、それをめぐってあ
れこれと騒ぎが起きます。長女の夫が、怪しい探偵に義父の浮気調査を依頼し
たり。
後半は家族会議がハイライト。そこで思わぬ事態が起きて、ドラマは大団円へ
と向かいます。
まあ、とにかく笑いが満載です。それもわかりやすい笑いばかり。なので、老
若男女誰でも笑える映画になっています。全体のテンポがいいのも特徴。とて
も80代半ばの監督の映画とは思えません。
小林稔侍扮する探偵のコスプレ写真集を見せたり、林家正蔵が父親の先代・三
平そっくりの髪型で「どうもすいません」のギャグをかましたり、「落語家み
たいな医者」と形容した後で笑福亭鶴瓶を登場させたりと、遊び心タップリの
小ネタも満載。山田監督の喜劇といえば、「男はつらいよ」が有名ですが、そ
の主題歌まで登場します。
ドラマ的には、家族の素晴らしさを讃えているものの、それが今は絶滅しかけ
ていることも同時に描き（主人公宅の周辺は高齢化などで空き家も多い）、さ
らにただ家族が存在するだけでなく、ちゃんと話をすることや言葉の大切さも
訴えるあたりに、山田監督らしさが感じられます。
ラストはやや拍子抜けですが、『東京家族』でオマージュを捧げた小津安二郎
監督の『東京物語』をそのまま使ってホッコリ終わるあたりに、何とも言えな
い味わいを感じさせてくれます。
新しい発見や驚きはありませんが、楽しい映画なのは間違いありません。こう
いう喜劇もたまにはいいのでは？
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（85点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2016年3月18日（金）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午前11時5分の回
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