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ロブスター（THE
LOBSTER）
（2015年 アイルランド・イギリス・ギリシャ・フランス・オランダ・アメリ
カ）（上映時間1時間58分）
監督：ヨルゴス・ランティモス
出演：コリン・ファレル、レイチェル・ワイズ、ジェシカ・バーデン、オリヴ
ィア・コールマン、アシュレー・ジェンセン、アリアーヌ・ラベド、アンゲリ
キ・パプーリァ、ジョン・Ｃ・ライリー、レア・セドゥ、マイケル・スマイ
リー、ベン・ウィショー
＊新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて公開。全国順
次公開
ホームページ http://www.finefilms.co.jp/lobster/
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＜ストーリー＞
妻に捨てられて独身となったデヴィッド（コリン・ファレル）は、ホテルに送
られる。そこで45日以内にパートナーを見つけなければ、動物に変えられて森
に放たれるのだ。だが、パートナー探しに失敗したデヴィッドはホテルを脱走
し、森へと逃げ込む。その森には女性リーダー（レア・セドゥ）率いる独身者
たちの集団がいた。そこでデヴィッドは一人の女性（レイチェル・ワイズ）と
恋に落ちるが、それは独身者集団ではルール違反の行為だった……。
＜レビュー＞
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独身者は動物に変えられる。いろんな意味でビックリの映画
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タイトルを見るとグルメ関係の映画かと思うかもしれませんが、さにあらず。
近未来ＳＦチックなお話です。
舞台は独身が罪だとされる社会。妻に去られて独身となったデヴィッドは、強
制的にホテルに収容されます。そこで45日以内にパートナーを見つけなければ、
希望した動物に変えられて森に放たれてしまいます。というわけで、デヴィッ
ドが希望したのがロブスターだったわけです。
これって、どう考えてもＢ級映画のネタですよね。ムカデ人間ならぬロブス
ター人間でも登場すれば、これはもう笑うしかありません。まあ、この映画も
ブラックなユーモアに包まれているのは事実ですが、つくりはけっこう大真面
目なんです。荘厳な音楽、品格を感じさせる映像、そしてコリン・ファレル、
レイチェル・ワイズ、レア・セドゥらハリウッドの実力派スターたちの出演。
そんな中、デヴィッドはパートナー探しをするものの、相手選びに失敗してホ
テルを飛び出し、森に逃げ込みます。そこには独身者たちによるパルチザン的
な組織があり、女リーダーが仕切っています。女リーダーはメンバーに「恋愛
禁止、セックス禁止」を徹底しています。しかし、デヴィッドはある女性と親
しくなってしまいます……。
いったいこの映画は何を訴えようとしているのか。もしかしたら、ドラマの背
景には欧米によくあるパートナーの強要的な風習に対する批判があるのかもし
れません。さらに、それを通して個人の生き方に介入する権力の恐ろしさを告
発しているとも取れます。前半の体制側に加え、後半の反体制側も同じ体質を
持っていることからも、それがなおさら強く感じられます。
なので、ドラマの終盤は、きっと体制ＶＳ反体制の熾烈なバトルが展開するか
と思いきや、なんとあまりにも切ない悲恋のドラマが展開されます。ラストは
『春琴抄』かよ？
そうです。最後はそれまでの権力批判を越えて、愛についての普遍的な考察に
まで至るのです。うーむ、何とも奇想天外な映画。いろんな意味でビックリで
す。
ギリシャのヨルゴス・ランティモス監督は、長編２作目の『籠の中の乙女』で
注目されて、初の英語作品となった今作でも第68回カンヌ国際映画祭で審査員
賞を受賞したそうです。なるほど、不思議な魅力を持った映画なのは確かです
ね。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（86点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2016年3月16日（水）新宿シネマカリテにて。午前11時35分の回
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