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Mr.ホームズ 名探偵最後の事件（MR. HOLMES）
（2015年 イギリス）（上映時間1時間44分）
監督：ビル・コンドン
出演：イアン・マッケラン、ローラ・リニー、真田広之、マイロ・パーカー、
ハティ・モラハン、パトリック・ケネディ、ニコラス・ロウ、ロジャー・アラ
ム、フィル・デイヴィス、フランシス・デ・ラ・トゥーア、ジョン・セッショ
ンズ
＊TOHOシネマズシャンテほかにて全国公開
ホームページ http://gaga.ne.jp/holmes/
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＜ストーリー＞
海辺の家でミツバチの世話をしながら余生を送る93歳のシャーロック・ホーム
ズ（イアン・マッケラン）。彼には一つだけ心残りがあった。それは30年前の
出来事。ある男の依頼を受けて、彼の妻の素行調査を開始したホームズは、人
生最大の失態を犯して引退に追い込まれたのだった。やがてホームズは、この
未解決事件の謎を解くべく、家政婦の息子ロジャーを助手に迎え、再び捜査に
乗り出すのだが……。
＜レビュー＞
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過去の自分と向き合う93歳のシャーロック・ホームズ
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ご存知、シャーロック・ホームズの映画です。ホームズといえば、最近ではロ
バート・ダウニー・Ｊｒ．やベネディクト・カンバーバッチが演じていますが、
今回はああいう行動派のホームズとは全く違います。
何しろ本作のホームズはなんと93歳。老化が進み、死の影がちらついています。
彼の面倒を見る家政婦も手に負えずという感じで、転職を考えているほどです。
そんなホームズは、田舎の屋敷でミツバチの世話をしながら静かに暮らしてい
ます。彼にとって心残りが30年前の引退の引き金となったらしい事件のこと。
ただし、いったいどんなことがあったのか。本人の記憶はもはや曖昧です。彼
の助手ワトソンが描いた小説もありますが、それは真実ではないといいます。
というわけで、なんとか昔の事件を正確に書き残したいホームズが、家政婦の
息子の少年とともに事件を追うドラマ。ただし、謎ときの面白さはそんなにあ
りません。基本的に、ホームズが曖昧になった過去の記憶を整理するだけだし、
事件の全容がわかってしまうと「な〜んだ」となってしまいます。
それでも過去と現在を行き来しつつ、さらに戦後すぐの日本の広島に舞台を移
したりして、事件の真相をチラチラ見せていく手法が巧みです。
そして、この映画の最大の見どころは老境で過去の自分と向き合い、本当に大
切なものを理解するホームズの人間ドラマです。
事件の全容が明らかになると、そこには悔やんでも悔やみきれないホームズの
悔恨の情が漂います。そして果てしない孤独という現実も突き付けられます。
さらにラスト近くでは、家政婦の息子がとんでもない悲劇に襲われます。え？
こんなに暗い話でいいのかと思いましたが、けっしてそれでは終わりません。
ラストにはちゃ〜んと救いが用意されています。
観終わって名探偵としてではなく、１人の人間として余生を送ろうとするホー
ムズの決意のようなものが感じられました。人生の悲喜こもごもが描き込まれ
た、見応えある人間ドラマだと思います。
『ロード・オブ・ザ・リング』『X-MEN』シリーズなどのイアン・マッケランが、
ホームズ役を渋く好演。現在のよれよれのホームズと30年前のホームズを巧み
に演じ分けています。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（84点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2016年3月23日（水）TOHOシネマズ新宿にて。午後2時30分の回
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