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無伴奏
（2015年 日本）（上映時間2時間12分）
監督：矢崎仁司
出演：成海璃子、池松壮亮、斎藤工、遠藤新菜、松本若菜、酒井波湖、仁村紗
和、斉藤とも子、藤田朋子、光石研
＊丸の内TOEIほかにて全国公開
ホームページ http://mubanso.com/
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＜ストーリー＞
1969年、反戦運動や全共闘運動が盛んな時代。仙台の高校３年生・野間響子
（成海璃子）は、親友と制服廃止闘争委員会を結成し、革命を訴えていた。そ
んなある日、親友に連れられて入ったバロック喫茶「無伴奏」で、大学生の渉
（池松壮亮）と、その親友の祐之介（斎藤工）、祐之介の恋人エマ（遠藤新
菜）と出会う。彼らと会って話をするうちに、いつしか響子は渉に強く惹かれ
ていくのだが……。
＜レビュー＞
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学生運動の時代を背景にした衝撃の恋愛ドラマ
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直木賞作家・小池真理子の半自伝的同名小説の映画化だそうです。1970年前後
を舞台にした恋愛ドラマです。
主人公は高校３年生の響子という女の子。当時は学生運動が盛んな頃で、彼女
もそれに影響されて高校で制服廃止運動などを展開しています。そんな中で、
ある日、クラシック音楽をかける「無伴奏」という喫茶店に友達に連れられて
入った響子は、そこで大学生の渉と親友の祐之介、祐之介の恋人エマと出会い
ます。
というわけで、この４人の恋愛模様が描かれます。そう聞くと、明るく瑞々し
い恋愛模様のように思えるかもしれませんが、そうではありません。キラキラ
した場面もあるにはありますが、全体のタッチはかなり暗く重たいもの。
何しろ響子は多感なだけに、モヤモヤした思いをあちこちにぶつけています
（学生運動だけでなく、父への反抗なども）。響子とつきあうようになる渉も、
母親が自殺したらしいことに加え姉と謎の関係にあることなど、屈折した背景
を背負っています。その友人の祐之介もまたしかり。
そんなこんなでただ暗いだけでなく、死の影までちらつく展開。実際に自殺未
遂の話まで出たりして。
そういう雰囲気の中で、急速に接近する響子と渉。響子にとって初めてのキス
やセックスも（でも、そんなにエロくない感じです）。このまま２人は幸せに
なるのかしらん。
と思ったら後半は、あっと驚く展開に突入。え！ あの人とあの人がそんな関
係だったの？ ウソみたい。原作を読んでいないワタシはビックリでした。お
まけに、その後は凶悪犯罪まで起きます。そりゃあ暗くもなりますよねぇ。こ
んなに屈折した背景が秘められていたんだもの。
まあ、とにかく暗くて、苦い恋愛＆青春ドラマですよ。自分が響子だったら、
こんなことが起きたらしばらく立ち直れまへん。半自伝的小説ってことだけど、
小池真理子はどんな気持ちだったのでしょうねぇ〜。
でも、どうなんでしょう。縦糸の恋愛ドラマと横糸の学生運動などの世相が、
うまくリンクしていない感じもしたのですが。例えば、学生運動の敗北と響子
たち４人の愛憎劇をうまくリンクさせたりしたら、もっとグッとくるドラマに
なったかも……。
主演の成海璃子をはじめ、池松壮亮、斎藤工、遠藤新菜の４人はピッタリのキ
ャストでした。その辺も含めて、それなりによくできた映画だとは思いますヨ。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
（80点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2016年4月1日（金）池袋シネマ・ロサにて。午後1時55分の回
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