|
レヴェナント 蘇えりし者（THE
REVENANT）
（2015年 アメリカ）（上映時間2時間36分）
監督：アレハンドロ・Ｇ・イニャリトゥ
出演：レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ、ドーナル・グリーソン、
ウィル・ポールター、フォレスト・グッドラッグ
＊TOHOシネマズ日劇ほかにて全国公開
ホームページ http://www.foxmovies-jp.com/revenant/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
1823年、アメリカ北西部。ヘンリー隊長（ドーナル・グリーソン）をリーダー
とする狩猟チームが未開の大地を進む。ガイド役を務めるヒュー・グラス（レ
オナルド・ディカプリオ）も先住民の女性との間に生まれた息子ホークととも
に加わっていた。ある時、一行は先住民の襲撃を受け逃走する。その途中で、
グラスは熊に襲われ、瀕死の重傷を負ってしまう。ヘンリー隊長にグラスの最
期を看取るように命じられたフィッツジェラルド（トム・ハーディ）だが、グ
ラスを置き去りにし、反抗したホークも殺してしまう……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
レオ様の渾身の演技と迫力の映像を楽しむ復讐劇
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
アレハンドロ・Ｇ・イニャリトゥ監督が『バードマン あるいは（無知がもた
らす予期せぬ奇跡）』に続いて２年連続でアカデミー監督賞を、主演のレオナ
ルド・ディカプリオが初の主演男優賞を、そして撮影監督のエマニュエル・ル
ベツキが３年連続の撮影賞を獲得した映画。
ストーリーはシンプルです。19世紀前半のアメリカの未開の地。ヘンリー隊長
率いる狩猟チームが先住民に襲われて逃走します。主人公のグラスも先住民の
女性との間に生まれた息子ホークとともに逃げますが、その途中で熊に襲われ
て瀕死の重傷を負います。ヘンリー隊長は彼を連れて帰ろうとしますが、余命
わずかと判断し、メンバーのブリジャーとフィッツジェラルドに最期を看取り
埋葬するよう命じます。しかし、以前からグラスを嫌っていたフィッツジェラ
ルドは、反抗したホークを殺し、グラスを置き去りにします。
というわけで復讐のドラマです。この映画の最大の見どころは、フィッツジェ
ラルドへの復讐を目論むグラスの壮絶なサバイバル劇。過酷な大自然の中、す
さまじい形相で生き延びようとするグラス。セリフもほとんどなく、肉体だけ
でそれを表現するディカプリオの演技は圧巻。そりゃあ、オスカーをあげたく
なっちゃうわけですヨ。
グラスは熊に襲われても、生き埋めにされても、崖から落下しても死にません。
「ありえねぇ〜」話ではありますが、それを感じさせない圧倒的な迫力が見事。
そして、同様に見事なのが映像。『バードマン あるいは（無知がもたらす予
期せぬ奇跡）』も素晴らしい映像でしたが、こちらも負けていません。長回し
の映像を中心に、縦横無尽に動き回るカメラ。一切の人工照明を使わずに撮影
したという独特のタッチ。臨場感たっぷりで、グラスの痛みや感情の高ぶりが
ダイレクトに伝わってきます。
サバイバル劇の先の展開なども含めて、斬新な展開があるわけでもなく、ス
トーリー的には特に見るべきものはありません。しかし、それでも見応えがあ
ります。
上映時間2時間半越えのこの映画。正直、１時間半もしないところで私は疲れて
しまいました。だって、自分もグラスと同じ体験をしている感覚なんですもん。
しかし、疲れても目が離せないのです。どんどん疲労が蓄積されつつ、最後ま
でスクリーンに惹きつけられるという不思議な体験。まあ、そのぐらい見応え
があるということでしょうね。さすが一流のスタッフによる映画です。
傑作とまではいきませんが、レオ様の演技、そして迫力の映像だけでも十分に
観る価値はあります。レオ様だけでなく、トム・ハーディの悪役ぶりもなかな
かのもの。観るならぜひ映画館で。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（91点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2016年4月24日（日）TOHOシネマズ日劇にて。午後1時の回
[「れ」のページ] |