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砂上の法廷（THE
WHOLE TRUTH）
（2016年 アメリカ）（上映時間1時間34分）
監督：コートニー・ハント
出演：キアヌ・リーヴス、レニー・ゼルウィガー、ググ・ンバータ＝ロー、ガ
ブリエル・バッソ、ジム・ベルーシ
＊TOHOシネマズ
シャンテほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://gaga.ne.jp/sajou/
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＜ストーリー＞
莫大な資産を持つ大物弁護士が自宅で殺害され、17歳の息子マイク・ラシター
が容疑者として逮捕される。完全黙秘を続けるマイクの弁護を引き受けること
になったのは、敏腕弁護士のラムゼイ（キアヌ・リーヴス）だった。法廷でも
何も語らないマイクをよそに、検察側の証人が次々と彼に不利な証言をしてい
く。だが、ラムゼイが証言のわずかなほころびから証人たちのウソを見破ると、
裁判の流れは変わり始める。そんな矢先、少年がついに沈黙を破り、驚くべき
告白をするのだが……。
＜レビュー＞
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スリリングな法廷劇の果ての驚愕の真実
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『十二人の怒れる男』（1957年）など法廷劇の名作はありますが、なにせ舞台
が法廷に限られるだけに、一歩間違えると駄作にもなりがちです。そんな中、
この映画は濃密で目の離せない作品に仕上がっています。
主人公の弁護士ラムゼイは、殺人事件の弁護を依頼されます。犯人は17歳の高
校生マイク。彼には父親を刺殺した嫌疑がかけられています。しかし、マイク
自身はまったく口を開きません。そのためラムゼイは思うように裁判が進めら
れません。
ドラマの軸になるのは、法廷で検察官とラムゼイが証人たちを尋問するシーン。
マイクと父が乗ったチャーター機の女性、事件の捜査官、マイク一家の隣人な
どなど。証言と並行して、その内容が映像化されて描かれるのですが、それが
証言内容とは微妙に食い違っているのです。それによって疑念が増幅し、「何
か真実で何が嘘なのか」まったくわからない展開に突入していきます。
そんな謎をさらに増幅させるのが、ラムゼイの助手を務める若い女性弁護士。
嘘を見破る名人だという彼女のキャラが、効果的に使われています。
深い謎の中から、やがて真実らしきものが見えてきます。それはマイクの父親
に虐待されていたという母親ロレッタにかかわる出来事。それを見るに見かね
たマイクが犯行に及んだというわけです。
ところが、その後ずっと沈黙していたマイクが、突然証言を始めます。それに
よって事態は大きく変わり、おぞましい事件の構図が浮かび上がります。そし
て判決は……。
しかし、ここで大団円とはいきません。ラストに待ち受けているのは、驚愕の
事実です。この裁判そのものが、ある計画のもとに遂行されていた危険な賭け
であり、まったく別な真犯人が存在することが明らかになるのです。
うーむ、まさに砂上の法廷。裁判は決着してもカタルシスとは無縁。観終わっ
て苦く重たいものが残ります。
スリリングで息詰まるタッチといい、二転三転する展開といい、なかなかの力
作です。監督のコートニー・ハントは、アカデミー賞にもノミネートされたイ
ンディーズ映画『フローズン・リバー』（2008年）の監督。
こういう役も似合うキアヌ・リーヴス、過去の作品とは全く違う顔を見せるレ
ニー・ゼルウィガーの演技も印象的でした。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（88点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2016年4月12日（火）TOHOシネマズ シャンテにて。午後3時の回
[「さ」のページ]
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