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セトウツミ
（2016年 日本）（上映時間1時間15分）
監督：大森立嗣
出演：池松壮亮、菅田将暉、中条あやみ、鈴木卓爾、成田瑛基、岡山天音、奥
村勲、笠久美、牧口元美、宇野祥平
＊新宿ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://www.setoutsumi.com/
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＜ストーリー＞
高校２年生の内海想（池松壮亮）と瀬戸小吉（菅田将暉）。塾に通うクールな
内海に対して、瀬戸は元サッカー部のお調子者。そんな対照的な２人が、放課
後はいつも一緒に河原で時間を潰す。とりとめのない無駄話を続ける瀬戸と内
海だったが……。
＜レビュー＞
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２人の高校生の無駄話が漫才のようで笑える
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此元和津也のコミックスを『まほろ駅前多田便利軒』『さよなら渓谷』の大森
立嗣監督が映画化しました。
この映画、高校２年生の２人が、河原の石段でただおしゃべりするだけ。いや、
正確に言えば季節ごとに何パートかに分けて描いているし、２人の会話に出て
くるアイテムを映像化したり（猫の話をしたら猫の映像を見せたり）、河原に
やってくる人たち（不良とその父親、バルーンアーティスト、同級生の美少女
の樫村さんなど）を登場させたりと、色々と目先は変えているのですが、それ
でも基本は２人の会話劇です。
その内容は、はっきり言って無駄話。家のこと、学校のこと、女の子のこと、
猫のこと、怪談話、虫や食虫植物の話などなど。どうでもいい話のオンパレー
ド。多少シリアスになりかけるところもありますが、すぐにまた無駄話のトー
ンに戻ります。それがまたオフビートな笑いに満ちていて面白いんですヨ。
何より２人のキャラが立っています。メガネ男子の内海は頭がよくて冷静沈着。
一方のツンツン頭の瀬戸は元サッカー部で熱血キャラだがお調子者。同時にか
なりの小心者です。塾に行くまでに時間がある内海と、部活をやめてやること
がない瀬戸。２人の時間潰しのニーズが合致。
そして内海と瀬戸は、まるで漫才のような会話を展開します。大阪が舞台とい
うことで、２人の大阪弁もいい味を出しています。これがホンマにボケとツッ
コミ。ええ味を出しとるんですわ（て、私まで大阪弁を使う必要はありません
が）。会話の間も絶妙で、最初から最後まで笑いこけてしまいました。
内海役の池松壮亮と瀬戸役の菅田将暉もハマリ役です。よくぞこんな名コンビ
をキャスティングしたものです。この２人でいくらでも続編が作れそう。
まあ、正直なところ、楽しい以上の何かがあるかといえば、「うーむ」という
感じではあります。それでも、内海と瀬戸のホンワカした友情には好感が持て
るし、「そういえば自分も高校時代にあんな無駄話をしてたっけ」と観客が共
鳴しそうな部分もあります。そして、「一生懸命になるだけでなく、ああいう
無駄な時間もいいんじゃない」という作り手の温かな視線も心地よく感じられ
ます。
というわけで、主人公たちが無駄話をするように、観客も1時間15分の間、まっ
たりと楽しく笑える映画です。たまには、こういう映画もいいんじゃないでし
ょうか。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（88点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2016年7月4日（月）ヒューマントラストシネマ渋谷にて。午後1時50分の回
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