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シェル・コレクター（THE SHELL COLLECTOR）
（2016年 日本・アメリカ）（上映時間1時間29分）
監督：坪田義史
出演：リリー・フランキー、池松壮亮、普久原明、新垣正弘、ジム・スターク、
瀬名波孝子、城間やよい、橋本愛、寺島しのぶ
＊テアトル新宿ほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://bitters.co.jp/shellcollector/
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＜ストーリー＞
沖縄の孤島で一人で暮らす盲目の貝類学者（リリー・フランキー）。ある日、
山岡いづみ（寺島しのぶ）という女が島に流れ着く。彼女は世界中で蔓延して
いる奇病を発症していた。ところが、偶然、貝類学者が採取したイモガイの猛
毒がいづみの病気を治してしまう。その噂を聞きつけた人々が貝類学者のもと
に押し寄せてくる。こうして貝類学者の静かな日常は次第に狂い始めていく…
…。
＜レビュー＞
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リリー・フランキー主演。鮮烈な映像のファンタジー
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リリー・フランキー久々の主演作。原作はアメリカの短編小説だそうです。坪
田義史監督は前作の『美代子阿佐ヶ谷気分』が、けっこう評判になった人。ち
なみに、クレジットを見ると、この映画は一応日米合作みたいですね。
原作の舞台はどこか知りませんが、映画の舞台は沖縄の孤島。そこに一人で住
む盲目の貝類学者は、貝を採取して標本を作っています。そんな中、ラジオの
ニュースによれば世界で治療不可の奇病が流行しているといいます。そしてま
もなく、いづみという女が島に流れ着きます。彼女も奇病に侵されていました。
貝類学者は彼女を保護しますが、ある日、イモガイという猛毒を持った貝に刺
された彼女は、なぜか病気が治ってしまいます……。
ややＳＦチックなところもあるファンタジー映画です。冒頭近くで、リリー・
フランキー演じる貝類学者が貝の中身を取り出すシーンがあるのですが（貝殻
の標本をつくるために）、そこが何ともエロチック。
でもって、まもなく寺島しのぶ演じるいづみという女が漂着。これまた相変わ
らずエロいエロい。なので、「これはエロいファンタジー映画なのか？」と変
な期待（？）をしたのですが、いづみはまもなく島を去ってしまいます。そし
て代わりに、病気が治ったという噂を聞いた人々が島にやってきます。
途中から映画はどんどん迷宮に入り込みます。正直、何を言いたいのかよくわ
かりませんでした。環境問題がテーマ？ 人間の欲望とか現代文明への批判？
貝類学者が沖縄のシャーマンの家の娘の病気を治すシーンがあって、神につ
いて何か言いたいのか？ とも思ったのですが、それにしては中途半端。
後半に貝類学者の息子が登場して、親子の確執のドラマ的なところもあるし、
戦争の話なども飛び出すし。うーむ、最後まで理解不能でした。イメージ的な
映像で観客の想像力を刺激するのはいいにしても、もう少しテーマがわかるよ
うにしたほうがよかったのでは？
息子役の池松壮亮、島の有力者の娘役の橋本愛も、あんまり効果的に使われて
いませんよね。
それでも見どころはあります。沖縄の美しい自然を描いた映像が圧巻。そして、
海の中の生物などを使ったイメージ的なショットが、あまりにも幻想的で、多
くの示唆を秘めているように感じられます。撮影は『岸辺の旅』の芦澤明子、
イメージ映像は映像作家・牧野貴だそうです。この映像に加え、相変わらずい
い味を出すリリー・フランキーの演技が、この映画の最大の見どころでしょう。
ストーリーを追うのではなく、アート作品のように見るのが正解の映画かもし
れませんね。
≪ぽちの満足度≫
★★☆☆☆（＋1／2★）
（69点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2016年3月2日（水）テアトル新宿にて。午後3時の回
[「し」のページ]
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