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幸せをつかむ歌（RICKI AND THE FLASH）
（2015年 アメリカ）（上映時間1時間41分）
監督：ジョナサン・デミ
出演：メリル・ストリープ、ケビン・クライン、メイミー・ガマー、オード
ラ・マクドナルド、セバスチャン・スタン、リック・スプリングフィールド、
リック・ローザス、ジョー・ヴィターレ、バーニー・ウォーレル、ベン・プラ
ット
＊Bunkamuraル・シネマ、
ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開
ホームページ http://www.shiawase-uta.jp/
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＜ストーリー＞
ロックスターの夢を追うために３人の子供と夫を捨てたリッキー（メリル・ス
トリープ）。今はバンド"リッキー＆ザ・フラッシュ"のギター兼ボーカルとし
て、小さなライブハウスのステージに立つ。そんなある日、元夫のピート（ケ
ヴィン・クライン）から娘のジュリー（メイミー・ガマー）が離婚して落ち込
んでいると知らされる。20年ぶりに家族のもとを訪れたリッキーだが、ジュ
リーは自分を捨てた母を許すことができない。ピートから連絡を受けた２人の
息子とともに、久々に家族が全員顔を揃えるのだが……。
＜レビュー＞
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メリル・ストリープが完璧なロック・ミュージャンに！
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『マンマ・ミーア！』などで見事な歌声を披露しているメリル・ストリープ。
今回はロックミュージシャンの役。歌がうまいのは当然ですが、ギターも達者
で、演奏といい見た目といい完璧なロックミュージシャンです。これはもう演
技を越えています。
彼女が演じるリッキーは、バンドを率いて小さなライブハウスで歌っています。
当然、音楽だけでは食べて行けず、スーパーのレジ係として働いています。そ
んなある日、元夫から電話があり、娘が離婚してボロボロになっているから助
けてほしいとのこと。そうです。かつて彼女はロックスターの夢を追うため、
夫と３人の子供と別れていたのです。飛行機代を工面して20年ぶりに家族に会
うリッキー。当初はお互いにギクシャクにしていたものの、娘とも元夫とも少
しずつ距離を縮めていきます。しかし、息子２人なども加わった席では険悪な
雰囲気に。そして、不在だった元夫の現在の妻も帰ってきて……。
娘のピンチをきっかけに家族と再会したヒロインが、過去と向き合い、やがて
家族との絆を取り戻す物語。この映画の最大の特徴は、音楽を要所要所で巧み
に使っているところ。ドラマ的にはありがちな話だし、それほど深い描き方を
しているわけではありませんが、音楽の持つ力でドラマに説得力を持たせてい
ます。例えば、リッキーが自作の曲を弾き語りで元夫と娘に聞かせるシーン。
そこには離れていた家族への彼女の心情が的確に込められています。
そういえば、『羊たちの沈黙』で知られるこの映画の監督ジョナサン・デミは、
音楽ドキュメンタリーの秀作も送り出しています。それだけに、ピントがはず
れた音楽の使い方は一つもありません。フリートウッド・マックなどのカバー
曲も素晴らしい！ 時々ちらりと出てくる音楽ネタも、ロックが好きな人には
たまらないところ。
主人公のリッキーは、一応家庭を捨てたということになっていますが、本当は
家庭もロックスターの夢も、両方を追いかけたかったことがわかってきます。
しかし、それが許されない状況で家庭を捨てざるを得なかったわけです。その
葛藤や悔恨の思いを背中に背負いつつ、家族とどう向き合えばいいのか悩みま
す。その果てにたどり着いた結論は、自分の生き様をそのまま示すこと。
というわけで、クライマックスの結婚パーティーのシーンが出色。これまた展
開自体はありがちですが、ブルース・スプリングスティーンの歌を熱唱するリ
ッキーの姿が説得力満点で、スクリーンの中のパーティーの参加者も、スク
リーンのこちら側の観客も、ポカポカとハートを温められてしまいます。観終
わって思わずニッコリしてしまいました。
メリル・ストリープの歌と演奏だけでも観る価値があります。彼女のバントメ
ンバーも、一流ミュージシャンばかり。特に彼女の恋人役のリック・スプリン
グフィールドは、1980年代に次々にヒット曲を送り出した人気シンガー。です
がこの人、最初は確かテレビドラマで人気者になったはず。てことは、演技が
うまいのも当たり前ですね。
リッキーの元夫役を「ワンダとダイヤと優しい奴ら」のオスカー俳優ケビン・
クラインが好演。そして娘役はメリルの本当の娘メイミー・ガマー。さすがに
実の母娘共演は勝手が違うのか、最初はギクシャクした感じですが、それがう
まくドラマの設定にはまっていました。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（89点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2016年3月6日（日）ヒューマントラストシネマ有楽町にて。午後2時35分の回
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