スポットライト 世紀のスクープ(SPOTLIGHT)


(2015年 アメリカ)(上映時間2時間8分)
監督:トム・マッカーシー
出演:マーク・ラファロ、マイケル・キートン、レイチェル・マクアダムス、
リーヴ・シュレイバー、ジョン・スラッテリー、ブライアン・ダーシー・ジ
ェームズ、ビリー・クラダップ、スタンリー・トゥッチ、ジェイミー・シェリ
ダン、モーリーン・キーラー、ポール・ギルフォイル、レン・キャリオー、
ニール・ハフ
*TOHOシネマズ 日劇ほかにて全国公開
ホームページ http://www.spotlight-scoop.com/
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<ストーリー>
2001年、ボストンの新聞"ボストン・グローブ"の編集局長に就任したマーテ
ィ・バロン(リーヴ・シュレイバー)は、神父による子供への性的虐待事件を
追跡調査するように指示する。教会は地元の権威で、読者の半数以上がカトリ
ック教徒だが、特集記事欄「スポットライト」を担当するデスクのロビンソン
(マイケル・キートン)をはじめ、記者のレゼンデス(マーク・ラファロ)、
ファイファー(レイチェル・マクアダムス)らが取材に当たる。地道な取材の
末に、事件の背後に隠された巨大な疑惑へ迫るのだが……。

<レビュー>
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巨悪に挑む記者たちを緊張感タップリに描く
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カトリック神父による子供への性的虐待事件を報道した新聞記者たちの実録ド
ラマです。

ボストンの地元紙ボストン・グローブの編集局長にマーティという人物が就任。
彼は目玉になる記事として、神父による子供への性的虐待事件を追跡調査する
ように指示します。それを受けて特集欄の「スポットライト」のスタッフたち
が取材を始めます。

記者たちの取材は実に地味なものです。被害者や弁護士など関係者を地道に取
材し、資料にあたります。おまけに実録ドラマだけに、結論はわかっています。
それでもまったく飽きることはありませんでした。

長期にわたる取材の経緯を2時間程度にまとめるのは至難の業。ですが、それを
コンパクトかつテンポよくまとめています。教会が大きな力を持つ土地だけに、
記者たちの前には様々な困難が立ちはだかります。それを克服して前に進む記
者たちを緊張感タップリに描きます。

そしてチーム劇の面白さもあります。デスクのロビンソン(『バードマン ある
いは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』で大復活のマイケル・キートンが渋い
味を披露!)をはじめ、記者のレゼンデス(『フォックスキャッチャー』同様
充実の演技のマーク・ラファロ)、ファイファー(新境地のレイチェル・マク
アダムス)らがチームワークを駆使して悪事に迫ります。

当初は神父個人の犯罪のように思えた事件が、実は教会そのものによる大規模
な犯罪だとわかっていきます。そこでは、いつのタイミングで記事にするかで
記者同士のぶつかり合いもあります。

さらに終盤では、実は悪を追求する新聞社自体も、ある側面では悪事に加担し
ていたという苦い事実も突き付けます。

そしてそして、エンドロールの前に提示される衝撃の事実。期待通りに観客に
カタルシスを味合わせつつも、単に「めでたしめでたし」で終わるのではなく、
この事件を現在進行形の問題としてとらえようとするトム・マッカーシー監督
らの強い意志を感じました。

実録ドラマとしては出色の出来。ジャーナリズムのあるべき姿を真っ当に追求
しつつ、エンターティメント的な面白さも失っていない見事な作品。『レヴェ
ナント 蘇えりし者』など突き抜けた映画が多い中で、こういう地味ながら良
心的な映画が第88回アカデミー賞で作品賞と脚本賞を獲得したというのですか
ら、ハリウッドもまだまだ捨てたものではありません。

≪ぽちの満足度≫
★★★★☆(+1/2★)
(95点)
                                          (田中ひろあき)

〔鑑賞データ〕
2016年4月27日(水)TOHOシネマズ新宿にて。午後6時40分の回 


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