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若葉のころ（五月一號／FIRST
OF MAY）
（2015年 台湾）（上映時間1時間50分）
監督・原案：ジョウ・グータイ
出演：ルゥルゥ・チェン、リッチー・レン、アリッサ・チア、シー・チーティ
アン、シャオ・ユーウェイ
＊シネマート新宿ほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://www.wakabanokoro.com/
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＜ストーリー＞
離婚した母と祖母と台北で暮らす17歳の女子高生バイ（ルゥルゥ・チェン）。
母ワン（アリッサ・チア）とコンサートに出かけるが、そこで母は高校時代の
同級生リン（リッチー・レン）を見かける。そんなある日、母が交通事故で意
識不明の重体に陥ってしまう。偶然にも母のパソコンからリン宛の未送信メー
ルを発見したバイは、母の青春に思いをはせる。一方、バイは親友のウェンと
男友達のイエを巡って思わぬ事態に陥る……。
＜レビュー＞
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瑞々しい映像とキャストが光る２つの初恋物語
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台湾発のラブストーリーです。タイトルの「若葉のころ」は、『小さな恋のメ
ロディ』の挿入曲としても知られるビージーズの美しい名曲。劇中でも、それ
が効果的に使われています。
主人公はバイという女子高生。冒頭は、彼女と母のワンがコンサートに出かけ
たシーン。そこで母ワンは高校時代の同級生（実は初恋の相手）のリンと偶然
会います。しかし、ワンは声がかけられません。それからまもなく、ワンは交
通事故で意識不明に。そんな中、ワンがリンに宛てた未送信メールを見つけた
バイは、母の青春に思いをはせ、代わりにリンに「会いたい」とメールを送り
ます。
というわけで、この映画では２つの初恋が描かれます。１つは1982年の母ワン
の初恋。そしてもう１つは2013年の娘バイの初恋です。それぞれのストーリー
自体はどこかで見たようなもので、あまり深みはありません。母ワンの初恋は
相手のリンが起こしたある事件によって終わりをつげ、娘バイの初恋は親友ウ
ェンと男友達のイエを巡って大変な事態になりますが、それとて驚くようなも
のではありません。
では、この映画がつまらないかといえばそうではありません。最後まで飽きず
に観ることができました。その最大の理由は映像です。瑞々しく、美しい映像
が全編に流れます。たとえば、母の初恋のドラマで男子学生たちが校舎からレ
コードを放り投げるシーンなど、印象的なシーンが次々に飛び出します。監督
のジョウ・グータイはミュージックビデオを手がけてきた人で、本作が長編初
監督作品だそうです。なるほど、すべてのシーンがミュージックビデオになり
そうなほど印象に残る映像です。
それによって伝わるのは、初恋の揺れる思いや切なさなど、いつの時代も変わ
らない若者たちの心情です。単にうわべだけを見せるのではなく、バイが泣き
叫び身もだえするシーンを長めに映すなど、内面までしっかりと伝えようとす
る意志も感じられます。
そして音楽も聴きごたえがあります。「若葉のころ」のレコードをめぐって、
母ワンと初恋相手リンとの微妙なすれ違いの展開が登場し、それを背景にこの
曲が効果的に使われ、観客の郷愁を誘います。1980年代を知る台湾の観客なら、
ますますノスタルジックな気分に浸ったことでしょう。
キャストも素晴らしいですね。特に女子高生バイと30年前の母ワンの二役を演
じたルゥルゥ・チェンのキラキラ度が抜群です。どんなに映像が見事でも、彼
女なしにこの映画の瑞々しさは出なかったと思います。
できればメールの設定などをもう少しうまく構成すれば、さらにグッとくる映
画になった気がします。とはいえ、切なく瑞々しい青春ラブストーリーとして、
なかなかの出来の映画だと思います。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（87点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2016年5月30日（月）シネマート新宿にて。午前11時15分の回
[「わ」のページ]
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