ヤング・アダルト・ニューヨーク(WHILE
WE'RE YOUNG)
(2014年 アメリカ)(上映時間1時間37分) 監督・脚本:ノア・バームバック
出演:ベン・スティラー、ナオミ・ワッツ、アダム・ドライバー、アマンダ・
サイフリッド、チャールズ・グローディン、アダム・ホロヴィッツ *TOHOシネマズみゆき座ほかにて全国公開
ホームページ http://youngadultny.com/ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
<ストーリー> 8年間も新作が完成していないドキュメンタリー映画監督のジョシュ(ベン・ス
ティラー)と、プロデュ―サーで妻のコーネリア(ナオミ・ワッツ)。子供の
いない2人は40代になっても若いつもりでいたが、何かが欠けていると感じる
ようになる。そんなある日、ジョシュは講師をしているアートスクールで、20
代の聴講生カップルから声をかけられる。監督志望のジェイミー(アダム・ド
ライバー)と妻のダービー(アマンダ・サイフリッド)。自由でクリエイティ
ブに生きる2人に刺激を受けたジョシュとコーネリアは、再び活力を取り戻し ていくのだが……。
<レビュー> 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 二組のカップルを通して見える世代間ギャップの面白さ
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『イカとクジラ』『フランシス・ハ』など、インディーズ系を中心に秀作を送 り出しているノア・バームバック監督の作品です。
主人公はドキュメンタリー映画の監督(ただし、もう8年も映画を完成させられ
ずにいる)ジョシュと、プロデューサーでもある妻のコーネリア。子供がいな
いこともあって、40代になっても若いつもりでいる2人ですが、何となく自分
たちに欠落したものがあると感じるようになります。そんなある日、ジョシュ
は講師をしているアートスクールで、2人の20代の聴講生から声をかけられま す。監督志望のジェイミーと妻のダービーです。
というわけで前半から中盤にかけては、40代カップルのジョシュ&コーネリア
と20代カップルのジェイミー&ダービーの交流が、シニカルなユーモアととも に描かれます。
ジュショ&コーネリアは、時代に乗り遅れたくないとSNSを使いまくっています。
それに対してクリエイティブに生きるジェイミー&ダービーは、LPやVHS
テープといった古いものを愛しています。この逆転現象ともいえる設定がユ ニークです。
ジェイミー&ダービーと触れ合ううちに、ジョシュ&コーネリアは少しずつ人
生に活気を取り戻して、積極的に外に出歩くようになります。中年の2人は、
いわば大人になり切れないモラトリアム世代。それに対して、若い2人は自由
でポジティブで野心丸出しで生きる世代。まったく性質の異なる世代による化 学変化ともいえる展開です。
ところが、中盤から終盤にかけて事態は一変します。ジェイミーはドキュメン
タリー映画の製作に乗り出そうとして、ジョシュに協力を求めます。そのウラ
には実はある嘘が隠されていました。それを知ったジョシュは思い切った行動 に出ます。
コーネリアの父親である有名映画監督も絡んだ波乱のクライマックス。ただし、
単純な勧善懲悪劇のような方向に走らないのが、いかにもバービック監督らし いところ。
そんなあれこれを通して、ジョシュはようやく自分を自覚して、新たな一歩を
踏み出します。その成長のドラマと同時に、世代間ギャップを全編で大きく取
り上げているのがこの映画の特徴。ラストでスマホを巧みに操る幼児に唖然と
するジョシュが映りますが、これもまた世代間ギャップを浮き彫りにする描写 なのかもしれません。
中年カップルを演じたベン・スティラー&ナオミ・ワッツ、若いカップルを演
じたアダム・ドライバー&アマンダ・サイフリッドが、いずれも適役でした。
主人公の中年カップルに近い観客にとっては、ちょっと痛いドラマかもしれま
せんね。それでも二組のカップルの交流と確執を通して、人生のおかしさや哀
愁が漂ってくるのは間違いありません。個人的には、何となくウディ・アレン 監督の作品に似た空気を感じました。
≪ぽちの満足度≫ ★★★☆☆(+1/2★) (87点) (田中ひろあき)
〔鑑賞データ〕 2016年7月28日(木)TOHOシネマズみゆき座にて。12時35分の回
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