22年目の告白−私が殺人犯です−


(2017年 日本)(上映時間1時間57分)
監督:入江悠
出演:藤原竜也、伊藤英明、夏帆、野村周平、石橋杏奈、竜星涼、早乙女太一、
平田満、岩松了、岩城滉一、仲村トオル
*新宿ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://wwws.warnerbros.co.jp/22-kokuhaku/
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<ストーリー>
1995年、5件の猟奇的な連続殺人事件が発生する。捜査を担当する刑事の牧村
(伊藤英明)は犯人を逮捕寸前でとり逃し、犯人の罠にはまって上司を殺され
る。そして、事件は未解決のまま時効を迎えてしまう。それから22年後、曾根
崎雅人(藤原竜也)という男が自分が殺人犯だと名乗り出て、告白本を出版す
る。瞬く間に本はベストセラーとなり、曾根崎はマスコミ報道やSNSを通して一
躍時の人となるのだが……。

<レビュー>
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時効になった猟奇殺人事件をめぐるスリリングで怖いお話
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2012年の韓国映画『殺人の告白』を『SR サイタマノラッパー』『ジョー
カー・ゲーム』の入江悠監督がリメイクしました。未解決の連続猟奇殺人事件
をめぐるサスペンス・ミステリーです。

導入部で描かれる阪神淡路大震災の惨状と、その頃に起きた5件の連続殺人事件
の概要。それが時効に至った経緯をテンポよく見せて、観客をスクリーンに引
き込みます。

それから22年後。事件の犯人だと名乗る曾根崎雅人という男が現れ、告白本を
出版し、話題の人になっていきます。

その経緯をSNSを効果的に使うなどして見せていくところに、入江監督のセ
ンスの良さがうかがえます。おまけに、曾根崎を演じるのは藤原竜也。こうい
うワルをやらせたら右に出る者はいません。

その曾根崎と対するのが、刑事の牧村(伊藤英明)。彼は事件当時駆け出しの
刑事で、先輩とともに捜査にあたっていました。そして、犯人を逮捕寸前まで
追い詰めたもののとり逃し、犯人の罠にはまって上司を殺されてしまったので
す。

そんな彼の前に突然現れた真犯人。牧村は怒りや後悔の念にさいなまれます。
しかし、時効が成立しているのでどうしようありません。その焦燥感ややり場
のない怒りがスクリーンを覆いつくします。

怒りを感じているのは被害者家族も同様です。ヤクザの親分、病院の院長、書
店員の女の子など、各自がそれぞれの思いを抱え、自らの手で復讐に乗り出そ
うとします。

事件はあまりにも猟奇的なもの。そのものズバリの犯行シーンがあちこちには
さみこまれます。このへんはかなりエグいので、人によっては目をそむけたく
なるかもしれません。それでも、サスペンスとしてのスリリングさだけでなく、
ホラー映画的な怖さをこの映画に加味しているのは間違いありません。

中盤になると、事件を追い続けてきた仙堂というジャーナリストが前面に出て
きます。彼は元戦場ジャーナリストで、今はニュース番組の司会をしており、
曾根崎を自身の番組に出演させます。

そんな中で、実は連続殺人事件に関連して、牧村刑事の妹が行方不明になって
いるというもう1つの事件が発覚。その一件に絡んで、「真犯人は曾根崎ではな
くオレだ」という人物まで登場します。

後半の最初のヤマ場は仙堂の番組に、曾根崎、牧村、真犯人を名乗る人物が対
決するシーン。さあ、いったい何が起きるのか。事件の真相はどうなっている
のか。期待に胸が膨らんだのですが……。

正直なところ、後半の展開は強引でわざとらしいもの。リアリティに欠けてい
るし、既視感もあります。

前半から中盤までは観応え十分だっただけに、どうにももったいないところで
す。あそこまでヒネらなくても、当事者たちの心理などで十分に見せられたの
では?

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
(78点)
                             (田中ひろあき)

〔鑑賞データ〕
2017年6月19日(月)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午前11時15分の回


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