バリー・シール/アメリカをはめた男(AMERICAN MADE)


(2017年 アメリカ)(上映時間1時間55分)
監督:ダグ・リーマン
出演:トム・クルーズ、ドーナル・グリーソン、サラ・ライト・オルセン、ジ
ェシー・プレモンス、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、アレハンドロ・エ
ッダ、マウリシオ・メヒア、E・ロジャー・ミッチェル、ローラ・カーク、ベ
ニート・マルティネス、ジェイマ・メイズ
*TOHOシネマズスカラ座ほかにて全国公開
ホームページ http://barry-seal.jp/
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<ストーリー>
1970年代後半のアメリカ。大手民間航空会社のパイロットのバリー・シール
(トム・クルーズ)は、ある日、天才的な操縦技術に目を付けたCIAのエージェ
ントに勧誘され、極秘作戦に参加する。その過程で、巨大麻薬組織"メデジン・
カルテル"の伝説の麻薬王パブロ・エスコバルらと接触し、バリーは麻薬の運び
屋としても天才的な才能を開花させる。エージェントとしてホワイトハウスやC
IAの命令に従いながら、同時に麻薬の運び屋としても大金を稼ぐようになるバ
リーだったが……。

<レビュー>
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CIAの仕事と麻薬ビジネスを両立させた破天荒な男の実話
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『ボーン・アイデンティティー』のダグ・リーマン監督が、『オール・ユー・
ニード・イズ・キル』に続いてトム・クルーズとタッグを組んだ作品。

冒頭では1970年代後半の時代状況を提示。そして登場する主人公のバリー・
シール。大手民間航空会社TWAのパイロットで、操縦の腕は超一級。それに目を
つけたのがCIAのエージェント。バリーは彼に勧誘されて、極秘作戦に参加する
ことになります。それはゲリラたちの姿を航空写真で撮影するというもの。そ
れだけなら、よくあるCIAもののドラマの展開。だが、問題はその先です。

CIAの依頼をこなす過程で、バリーは巨大麻薬組織"メデジン・カルテル"の伝説
の麻薬王パブロ・エスコバルらに目をつけられ、麻薬の運び屋として活動する
ことになるのす。

バリーがCIAの仕事と麻薬ビジネスを両立させ、まるでビジネスマンのように業
務を拡張していくところは実に痛快です。人を雇い、大金を稼ぎ、地元の名士
にまで成り上がります。妻子もノリノリで一緒に成り上がります。その一方で、
CIAと麻薬組織が入り乱れて、あわやの場面に遭遇することもあります。

そんなバリーの活躍ぶりを、ダグ・リーマン監督はスリリングかつテンポよく
描き出します。CIAや麻薬組織などというとシリアスに流れがちですが、それと
正反対のユーモラスなタッチにしたのが大正解。70〜80年代の世相も織り込み
つつ、当時の音楽もタップリ流します。わざと粗っぽくした映像を使うあたり
も、独特の味わいを生み出しています。

とはいえ、話の展開はあり得ないことの連続。とてもリアルには思えません。
しかし、実はこのドラマは実話をもとにしています。そのことが冒頭で告げら
れるので、多少のウソ臭さはまったく気にならないわけです。まさに「事実は
小説より奇なり」を地でいく映画です。

こうして変わったビジネスで大成功するバリーですが、観客は同時に彼の末路
に不安を持つはずです。映画のかなり早い段階から、彼がビデオに向かって告
白をする映像が映されます。それはどう考えてもヤバい状況。後半は、そこに
至るまでの経緯が描かれます。

あまりにも手広くビジネスを展開した結果、バリーはいくつもの捜査当局から
目をつけられます。彼らが一度にバリー捕まえに来て、手柄争いをするシーン
が面白いところ。

しかし、それでもバリーは生き残ります。なんと今度はホワイトハウス絡みの
仕事を任されます。だが、それがやがてとんでもない事態を招くのでした。

正直なところ、結末はかなり悲惨です。しかし、そこもけっしてウェットに描
きません。あくまでもユーモラスに見せています。この終わり方も、本作にふ
さわしいもの。文句なしに楽しいエンターティメント映画です。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆(+1/2★)
(87点)
                              (田中ひろあき)

〔鑑賞データ〕
2017年10月25日(水)TOHOシネマズ日本橋にて。午後7時20分の回


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