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ブラインド・マッサージ（推拿／BLIND
MASSAGE）
（2014年 中国・フランス）（上映時間1時間55分）
監督：ロウ・イエ
出演：ホアン・シュエン、チン・ハオ、グオ・シャオトン、メイ・ティン、ホ
アン・ルー、チャン・レイ
＊アップリンク渋谷、新宿K's cinemaほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://www.uplink.co.jp/blind/
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＜ストーリー＞
シャー（チン・ハオ）とチャンが経営する南京のマッサージ院。 そこでは結婚
を夢見て見合いを繰り返す院長のシャー、幼い頃に交通事故で視力を失い「い
つか回復する」という医師の言葉を信じていた若手のシャオマー（ホアン・シ
ュエン）、周囲からの「美人だ」という評判を嫌がる新人ドゥ・ホン（メイ・
ティン）など、多くの盲人たちが働いていた。そんなある日、シャーの同級生
ワン（グオ・シャオトン）とその恋人コン（ャン・レイ）が駆け落ち同然で転
がり込んでくる。するとシャオマーはコンが気になって仕方なくなる。見かね
た同僚に誘われて風俗店に行ったシャオマーは、そこで風俗嬢のマン（ホア
ン・ルー）と出会い、恋に落ちるのだが……。
＜レビュー＞
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盲人たちの日常が肌で感じられる映像
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『二人の人魚』『スプリング・フィーバー』などで知られる中国のロウ・イエ
監督の映画。ビー・フェイユという人が書いた中国の同名ベストセラー小説が
原作だそうです。舞台は中国・南京の盲人マッサージ院。そこで働く若者たち
の日々を描いた青春群像劇です。
冒頭は、そのうちの一人、シャオマーという青年が、幼い頃に交通事故で失明
した経緯が語られます。そこで登場する映像が鮮烈。ピントがぼやけたような
映像で、突然目が見えなくなった彼の不安定な心情を表しているようです。こ
の映画には、盲人たちの感じる世界をリアルに伝えたいという徹底した姿勢が
感じられます。それがこの映画の最大の魅力です。
さて、成長したシャオマーが働くのがシャーとチャンが経営する南京のマッ
サージ院です。
そこには様々な盲人が働いています。シャー院長は結婚を夢見
てお見合いを繰り返すもののうまくいきません。周囲から「美人だ」といわれ
る新人ドゥ・ホンは、そう言われることを嫌がっています。一方、シャーの同
級生ワンは恋人コンとともに駆け落ち同然でマッサージ院にやってきます。
それぞれに事情を抱えた盲人たちの日常。それは、いわゆる健常者と何ら変わ
りのない毎日です。恋をしたり、笑いあったり、ケンカしたり、傷ついたり、
怒ったり、悩み苦しんだり。もちろん夢や希望もあります。それを手持ちカメ
ラを中心にした映像で見せていきます。
シャー院長は「美しい」ということが理解できず、その反動としてドゥ・ホン
を好きになります。しかし、ドゥ・ホンはそれを拒否します。幼さの残るシャ
オマーは、コンに欲望を感じるようになりますが、ワンの恋人であるコンがそ
れに応えることはありません。それを見た同僚は、シャオマーを風俗店に連れ
ていき、彼はそこで風俗嬢のマンと出会い、好きになってしまいます。
ひと口に盲人といっても、障がいの程度は人それぞれ。各自が背負ったものも
違います。そういう人たちが集えば、いろいろなことが起きるわけです。
終盤ではシャオマーが風俗嬢のマンをめぐって暴力沙汰に巻き込まれます。そ
こで登場するのが冒頭と同様のピントのぼけた映像。延々とシャオマーとその
周囲の風景を描き出します。心がざわつく、切ない場面です。
しかし、ラストにはほのかな希望の灯がともります。失踪したはずのシャオ
マーとマンの後日談です。
この映画を観て、自分も舞台となるマッサージ院にいるような感じになりまし
た。盲人であっても健常者と同様に感じること、そして盲人だからこそ感じる
ことが、手に取るように伝わってきて、彼らとの距離が縮まりました。見事な
映画です。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（90点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2017年1月20日（金）新宿K's cinemaにて。午前10時30分の回
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