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王様のためのホログラム（A HOLOGRAM FOR THE KING）
（2016年 アメリカ）（上映時間1時間38分）
監督・脚本：トム・ティクヴァ
出演：トム・ハンクス、アレクサンダー・ブラック、サリタ・チョウドリー、
シセ・バベット・クヌッセン、ベン・ウィショー、トム・スケリット
＊TOHOシネマズ シャンテほかにて全国公開
ホームページ http://hologram-movie.jp/
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＜ストーリー＞
大手自転車メーカーの取締役だったアラン（トム・ハンクス）は、業績悪化の
責任を問われて解任されてしまう。家も車も失い妻も去り、娘の養育費を稼ぐ
ためにIT業界へ転職した彼は、サウジアラビアの国王に最先端の映像装置（3D
ホログラム）を売りに行くことになる。だが、現地に到着するとオフィスはた
だのオンボロテントで、Wi-Fiもつながらず、ランチを食べるのもままならない。
担当者はいつも不在で、プレゼン相手の国王がいつ現れるかもわからない。上
司からのプレッシャーで、ついに身体も悲鳴をあげてしまうアランだったが…
…。
＜レビュー＞
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転落した男の再起と異文化共生をユーモラスに描く
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トム・ハンクス主演、監督は『ラン・ローラ・ラン』『パフューム ある人殺
しの物語』『クラウド
アトラス』（ウォシャウスキー姉弟と共同監督）などで
知られるトム・テイクヴァ。原作はデイヴ・エガーズという人のベストセラー
小説だそうです。
冒頭は、主人公のアランがトーキングヘッズの「ワンス・イン・ア・ライフタ
イム」という曲に合わせて、ラップ風に身の上話をつぶやきます。「立派な車
もステキな家も美しい妻も、煙のように消えてしまった」と。このポップで軽
快なシーンを観ただけで、すっかり引き込まれてしまいました。
アランは大手自転車メーカーの取締役だったものの、業績悪化の責任を問われ
てクビになりました。その後娘の養育費を払うためにIT業界に転職し、そこで
新たなミッションを与えられます。なんとサウジアラビアの国王に最先端の映
像装置（3Dホログラム）を売りに行くのです。
というわけで、転落した男の一発逆転をかけた再起の物語なのですが、全編に
笑いがたっぷり詰まっています。特に面白いのが、アランと運転手のユセフと
のやりとり。アメリカ留学経験があるユセフは、お調子者でおしゃべり。車の
中では大音量で音楽（シカゴとかELOとか）を流します。そんな彼とアランとの
会話が軽妙な笑いを生み出します。異文化をネタにした笑いもたくさん用意さ
れています。
アランはサウジアラビアの新都市に行きます。ところが、そこは砂漠のど真ん
中。そこでアランと部下たちに用意されたオフィスはオンボロのテント。Wi-Fi
もつながりません。抗議しようと思っても、担当者のカリームはいつも不在で、
肝心のプレゼン相手の国王がいつ現れるかもわかりません。
あまりの文化の違いに戸惑い、上司からのプレッシャーを受け、怪しげなパー
ティーでカリ―ムの部下のデンマーク人の女に誘惑されるなど、無茶苦茶な状
態になったアランは、ついに心身の調子を崩してしまうのでした。それでもア
ランは少しずつ現地の文化を受け入れるようになっていきます。
そうです。この映画は転落したアランが再起を目指して悪戦苦闘するドラマで
あるのと同時に、異文化との衝突と融合を描いたドラマでもあるわけです。
クライマックスで、アランはようやくプレゼンにこぎつけます。ただし、彼の
再起は別な形で実現します。劇中では背中に突然できたコブの治療に絡んで、
美人の女医ハキムが登場します。彼女とアランとのロマンスも、この物語の大
きな柱です。それは単なるロマンスではなく、異文化共生の象徴です。最初は
異文化に戸惑っていたアランは、次第にそれを受け入れて、幸せをつかみ、再
起を果たすのです。
楽しく笑いながら、主人公の再起のドラマを通して、異文化との共生の大切さ
が伝わる映画です。トム・ハンクスはこういうコメディーが似合いますね。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（89点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2017年2月21日（火）TOHOシネマズ シャンテにて午後12時20分の回
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