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怪物はささやく（A
MONSTER CALLS）
（2016年 アメリカ・スペイン）（上映時間1時間49分）
監督：Ｊ・Ａ・バヨナ
出演：ルイス・マクドゥーガル、シガニー・ウィーバー、フェリシティ・ジ
ョーンズ、トビー・ケベル、ジェニファー・リム、ジェラルディン・チャップ
リン、リーアム・ニーソン
＊TOHOシネマズみゆき座ほかにて公開
ホームページ http://gaga.ne.jp/kaibutsu/
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＜ストーリー＞
難病で余命わずかな母（フェシリティ・ジョーンズ）と2人で暮らす13歳のコ
ナー（ルイス・マクドゥーガル）。祖母（シガニー・ウィーバー）とは気が合
わず、学校ではいじめにあって孤独な彼は、毎夜悪夢にうなされる日々を送っ
ていた。そんなある日、不気味な大木の怪物が現われて、「三つの物語を語る
から、四つ目はおまえが真実を話せ」と告げるのだが……。
＜レビュー＞
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つらい境遇の少年を成長させる怪物の物語
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イギリスのベストセラーになった児童文学を、『永遠のこどもたち』のJ・A・
バヨナ監督が実写映画化しました。孤独な13歳の少年と怪物との出会いを描い
たダーク・ファンタジーです。
主人公の少年コナーは、母と2人で裏窓から教会の墓地が見える家で暮らしてい
ます。その母は難病で余命わずかです。そのためコナーは祖母の家で暮らすこ
とを勧められるのですが、祖母と気が合わないコナーはこれを拒否します。コ
ナーは学校でもいじめにあって孤独です。そして、コナーは毎晩悪夢にうなさ
れています。
そんなある夜、コナーのもとに近くの丘にある大木の怪物がやって来て、こう
告げます。「今から、私はお前に3つの物語を話す。4つめの物語は、お前が真
実を話せ」と。その日を境に夜ごと怪物は現れ、物語を語りだします。
怪物の声を担当しているのは、あのリーアム・ニーソン。彼はモーションキャ
プチャーにも挑戦しています。見た目がけっこうエグイ怪物ですが、荒々しさ
と同時にぬくもりや優しさを感じさせるのは、そのせいでしょう。
怪物が語る1つめの物語は、かつてこの地にあった王国の話。そこでは王の座を
めぐって王子と魔女が戦いを繰り広げます。しかし、純朴な王子VS邪悪な魔女
という構図で話を聞いていたコナーに怪物が語った顛末は、人生の複雑さや善
悪は簡単に割り切れないことを示したものでした。
一方、コナーの母親の病は進み、入院を余儀なくされます。コナーは仕方なく
祖母の家に住みますが、相変わらずうまくいきません。母と離婚した父親は外
国で新しい家庭を築いています。その父親も訪ねてきて、「遊びに来い」と言
うのですが、「一緒に暮らそう」とは言いません。学校でのいじめも続きます。
ますます過酷な現実に直面するコナーに対して、怪物は２つめの物語を語りま
す。それは牧師と調合師（今でいう薬剤師）の話。これもまた単純な善悪を否
定するとともに、人間の二面性を示すエピソードです。
怪物が語った３つめの物語は、周囲から透明人間だと冷笑された男の話。そし
て、いよいよコナーが4つめの真実の物語を語る場面が訪れます。そこからは圧
巻の展開です。怪物が迫り、大地が割れ、大切な人が危機に陥る中で、コナー
はついに真実を語ります。
それをきっかけに、母や祖母ともう一度しっかりと向き合うコナー。涙なしに
は観られない感動のシーンが続きます。
さらに、ラストに用意されたサプライズ。詳しくは伏せますが、母とコナーと
の絆を再確認させる叙情に満ちた仕掛けが用意されています。母子の愛情に涙
するとともに、コナーが苦難を乗り越えて、たくましく成長していくであろう
ことを予感させます。
いかにもダーク・ファンタジー映画らしい暗く、重たいトーンの中で、現実と
空想の世界を行き来しながら、コナーの葛藤と成長を描き出したバヨナ監督。
温かな余韻を残してくれる作品でした。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（88点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2017年6月22日（木）TOHOシネマズみゆき座にて。午後7時30分の回
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