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ラ・ラ・ランド（LA LA LAND）
（2016年 アメリカ）（上映時間2時間8分）
監督・脚本：デイミアン・チャゼル
出演：ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、ジョン・レジェンド、ローズ
マリー・デウィット、ソノヤ・ミズノ、Ｊ・Ｋ・シモンズ
＊TOHOシネマズみゆき座ほかにて公開
ホームページ http://gaga.ne.jp/lalaland/
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＜ストーリー＞
夢を叶えたい人々が集まる街、ロサンゼルス。女優志望のミア（エマ・ストー
ン）は、映画スタジオのカフェで働きながらオーディションを受け続けていた
が、なかなか役がもらえなかった。そんな中、ミアは場末の店で、ピアニスト
のセブ（ライアン・ゴズリング）の演奏に魅せられる。セブは、いつか自分の
店を持ち、大好きなジャズを思う存分演奏したいと願っていた。やがて2人は恋
におち、互いに励まし合って夢に向かうのだが……。
＜レビュー＞
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夢を追う2人のラブストーリーをノスタルジックかつ瑞々しく
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『セッション』のデイミアン・チャゼル監督によるミュージカル映画。
お話はシンプル。ロサンゼルスを舞台に、バイトしながら女優を夢見るミアと、
好きな客が思いっきり弾ける自分の店を持ちたいジャズ・ピアニストのセブに
よるラブストーリーです。それを季節ごとに描きます。冬に出会い、春に親し
くなり、夏に転機が訪れ、秋に別れ、そして次の冬に思わぬ再会をする2人。た
だ、それだけなのに実に面白い映画になっています。
まず度肝を抜かれるのが冒頭のシーン。渋滞の高速道路で車から次々に人が出
てきて、歌い踊ります。ゴージャスかつ躍動感あふれる場面で、いきなり観客
の心をわしづかみ。そのシーンからミアとセブの初めての遭遇につなげる展開
も抜かりがありません。
前半は過去のミュージカルのエッセンスを詰め込んだ展開。ロスの夜景を見下
ろす丘でのミアとセブ。プラネタリウムの星空に舞う2人など、ロマンチックな
シーンが観客の心をときめかせます。リアルとファンタジー、ミュージカルと
ストレートプレーを縦横無尽に行き来して、観客をスクリーンに引き込みます。
鮮やかな色彩など映像のマジックもいかんなく発揮されています。
ミアが映画スタジオのカフェで働いているということで、ハリウッド黄金時代
のようなノスタルジックな雰囲気も感じさせます（一応設定は現代ですが）。
ジェームス・ディーンの『理由なき反抗』を巧みに使ったり、『セッション』
を意識したようなセリフがあったりと、心憎いばかりの仕掛けや小ネタの連続
です。
音楽も完璧。オリジナルのスコアはもちろん、セブがジャズピアニストという
ことでジャズを中心に様々な音楽を使用。セブが加入するバンドのリーダーを
ジョン・レジェンドが演じるということで、彼の音楽もふんだんに登場します。
それにしても、チャゼル監督の知識量の豊富さときたら。彼がいかに映画オタ
ク＆ミュージカルオタク＆音楽オタクなのかが、よくわかる映画です。
後半の展開にも驚かせられます。2人の転機と危機をシリアスな芝居で見せてい
きます。そこには歌や踊りはまったくありません。エマ・ストーンもライア
ン・ゴズリンクも、もちろん売りはその演技力。それを前面に押し出します。
歌や踊りがなくても、いや、歌や踊りがないからこそ、2人の心情につい寄り添
ってしまいます。
そして、後半のハイライトになるミアのオーディションシーンで、満を持して
彼女に繊細かつ力強い歌声を聞かせる構成。いやはや見事すぎます。
さらに最後に驚かされるのが、再びの冬に訪れる2人の再会。そこで、もしかし
たら、あり得たかもしれない人生を描き、観客の共感を誘います。ラストの2人
の表情がいつまでも心に残ります。お互いにいろいろあったけれど、夢をかな
えた今を肯定し合う素晴らしい笑顔でした。
まあ、とにかくケチのつけようがない映画ですよ。すべて計算づくでやってい
るのがわかっても、ついつい引き込まれてしまいます。ブロードウェイミュー
ジカルの映画化ならともかく、オリジナルでこういう作品を、わずか32歳でつ
くってしまうのだから、デイミアン・チャゼルおそるべし！
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（92点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2017年3月1日（水）TOHOシネマズ日本橋にて。午後6時40分の回
[「ら」のページ]
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