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ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女（THE LAST PRINCESS）
（2016年 韓国）（上映時間2時間7分）
監督・脚本：ホ・ジノ
出演：ソン・イェジン、パク・ヘイル、ユン・ジェムン、ラ・ミラン、キム・
ジェウク、戸田菜穂、コ・ス、パク・チュミ、パク・スヨン、チョン・サンフ
ン、アン・ネサン、キム・デミョン
＊シネマート新宿ほかにて公開
ホームページ http://lastprincess.info/
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＜ストーリー＞
日本統治時代の1925年。大韓帝国初代皇帝・高宗の娘である徳恵翁主（トッケ
オンジュ）は、政略に巻き込まれて13歳で日本に留学させられる。祖国へ帰り
たいという願いがかなわず、大人になっても帰国できない徳恵（ソン・イェジ
ン）は、幼なじみのキム・ジャンハン（パク・ヘイル）と運命の再会を果たす。
秘かに朝鮮独立のために奔走していたジャンハンは、王朝復興を目論み、徳恵
と彼女の兄である皇太子の上海への亡命計画を進めるのだが……。
＜レビュー＞
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エンタメ性に満ちた忘れられた歴史の大河ドラマ
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ホ・ジノ監督といえば、『八月のクリスマス』『四月の雪』などで恋愛映画の
名手として知られていますが、今回は意外にも歴史を描いた大河ドラマです。
ドラマは、1960年の韓国から始まります。ある新聞記者が、大韓帝国最後の皇
太子が日本で見つかったという知らせを受けます。そこを起点に、舞台は日本
統治時代の1925年の韓国へさかのぼります。
その頃、日本は韓国を併合しようとしていました。しかし、大韓帝国初代皇
帝・高宗は、これに反対します。その直後に、彼は亡くなってしまいます（映
画では毒殺が強く示唆されます）。まもなく、日本の意を受けた側近によって、
高宗の娘である徳恵翁主（トッケオンジュ）は、本人の意思を無視して13歳で
日本に留学させられてしまいます。いわば日本が人質に取ったわけです。
当初は学校を卒業したら帰国させるという話だったのに、大人になっても徳恵
は帰国させてもらえません。そんなある日、彼女は幼なじみのジャンハンと再
会します。しかし、彼は大日本帝国陸軍少尉になっていたため、徳恵は大いに
落胆します。ところが、まもなく意外な事実が判明します。実はジャンハイは、
秘かに朝鮮独立運動に参加しており、王朝復興のために徳恵と兄の皇太子を上
海へと亡命させる計画を練っていたのです。
史実をベースにしつつ、大胆にフィクションも盛り込んだエンターティメント
映画です。大きな柱は、時代に翻弄され、権力者によって人生を狂わされた徳
恵の悲劇のドラマ。そこにはロマンスもあります。幼い頃に心を通わせた徳恵
とジャンハイが再会し、朝鮮独立のために行動するうちに強く結びついていき
ます。
また、サスペンスや活劇の要素もあります。ジャンハイたちは、紀元節の式典
で爆弾を爆発させ、そのすきに徳恵と兄の皇太子を亡命させようと企図します。
それに向かって高まる緊迫感。そしてその後の逃走劇と銃撃戦。どれもスリリ
ングで見応えタップリです。
後半では例の新聞記者が、消息不明となった徳恵を探すドラマが展開します。
彼女はある日本人男性と結婚したものの、やがて終戦を迎え、韓国へ帰国しよ
うとします。しかし……。
終盤はひたすら感情を揺さぶられました。徳恵が受けた余りにも理不尽で悲し
い仕打ち。それによって心を病んだ彼女の現在の姿。まさに涙なしには観られ
ないような展開でした。
しかし、その悲しい涙が最後には感動の涙に変わります。ラストのかつての王
宮のシーンが、大きな余韻を残して波乱のドラマが幕を閉じます。
忘れられた歴史のドラマであり、悲劇の皇女を描いた切ない人間ドラマであり、
ロマンスやサスペンス、活劇の要素まである観応え十分の映画でした。日本人
が観ても面白いと思います。徳恵を演じたソン・イェジンの演技も見事です。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（87点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2017年6月30日（金）シネマート新宿にて。午後12時の回
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