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LION ライオン 25年目のただいま（LION）
（2016年 オーストラリア）（上映時間1時間59分）
監督：ガース・デイヴィス
出演：デヴ・パテル、サニー・パワール、ルーニー・マーラ、デヴィッド・ウ
ェンハム、ニコール・キッドマン、アビシェーク・バラト、ディヴィアン・ラ
ドワ、プリヤンカ・ボース、ディープティ・ナヴァル、タニシュタ・チャテル
ジー、ナワーズッディーン・シッディーキー
＊TOHOシネマズみゆき座ほかにて全国公開
ホームページ http://gaga.ne.jp/lion/
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＜ストーリー＞
1986年、インドのスラム街で暮らす5歳の少年サルー（サニー・パワール）は、
兄とはぐれて停車中の回送電車で眠り込み、はるか遠くの都市コルカタまで来
てしまう。そのまま孤児となったサルーは、やがてオーストラリア人夫婦に養
子として引き取られ、優しい養母（ニコール・キッドマン）と養父に育てられ
る。25年後、成長したサルー（デヴ・パテル）は、少年時代の記憶がよみがえ
り、Google
Earthを頼りに故郷の家族を探し始めるのだが……。
＜レビュー＞
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主人公の心情に寄り添った25年後の故郷探し
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子供の頃にインドで迷子になり、5歳でオーストラリア人夫婦の養子になった青
年が、25年後にGoogle
Earthを使って故郷を探し出した実話をもとにした映画。
ただし、故郷探しのミステリー的要素はほとんどありません。
故郷探しの面白さを追求するなら、最初は青年時代の主人公を登場させて、そ
こから過去をさかのぼらせるはず。しかし、この映画はまず主人公の子供時代
からスタートします。舞台はインド。貧しいながらも母や兄などと一緒に暮ら
していた5歳のサルー。しかし、ある時、兄とはぐれて回送列車に乗り込んで眠
ってしまったことから、そのままはるか遠くの都市に運ばれてしまいます。
そこでは同じインドでも言葉が通じず、サルーは浮浪児狩りにあったり、人身
売買を企てるカップルに捕まったりと苦難の連続。ついには孤児院に入れられ
ます。
ガース・デイヴィス監督が力を注いだのは、ストーリー展開の面白さよりも心
理描写です。前半は徹底してサルーの心情に寄り添い、ローアングルの子供目
線の映像などで、彼の不安、混乱、孤独をあぶりだしていきます。幼少時代の
サルーを演じるサニー・パワールの健気さも相まって、感情移入する観客が多
そうです。
まもなくサルーは、養子としてオーストラリア人夫婦に引き取られます。中盤
は、オーストラリアに渡ったサルーと、彼を迎える養父母の心情をリアルに描
きます。お互いに最初はぎこちない態度をとりつつも、少しずつ距離を縮めて
いきます。
後半は大人になったサルーが描かれます。頭もよく優しい性格の彼は、順調な
人生を歩んでいます。まもなく恋人もできます。そんな中、サルーは忘れてい
た記憶がよみがえり、インドの実母に会いたいという思いが募ります。知人が
「Google
Earthで探せば見つかるかも」とアドバイスしたことから、故郷探し
を始めます。
そこもサルーの心の動きを中心に描きます。それは「故郷を探すことは養父母
に対する裏切りではないか」という葛藤です。また、養母がなぜ彼を養子に迎
えたのか、医学的理由や単なる同情ではないという彼女の強い思いも語られま
す。
クライマックスは予想通りの展開ではあるものの、誰もが感動できるはず。そ
してラストには「ライオン」というタイトルの理由が明かされ、さらに実際の
映像を使いつつ、サルーと実母だけでなく養母との絆を再確認させる心憎い仕
掛け。観終わって温かな気持ちになれる映画です。感動したい方にはぜひおス
スメ。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（87点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2017年4月15日（土）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午前11時30分の回
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