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人魚姫（美人魚／THE MERMAID）
（2016年 中国・香港）（上映時間1時間34分）
監督・製作・脚本：チャウ・シンチー
出演：ダン・チャオ、リン・ユン、キティ・チャン、ショウ・ルオ
＊シネマート新宿ほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://www.ningyohime-movie.com/
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＜ストーリー＞
若き実業家リウ（ダン・チャオ）は自然保護区域を買収し、リゾート開発計画
のために海を埋め立てるプロジェクトを進めていた。この計画を阻止するべく、
海に住む人魚族はリウの暗殺を計画する。その刺客として人間に変装させた人
魚のシャンシャン（リン・ユン）を送り込むが、シャンシャンはリウの暗殺に
失敗したばかりか、2人は互いに惹かれあってしまう。やがて、人魚族の存在が
バレて、人魚を研究材料にしようと企む者たちが攻撃を加えてくる……。
＜レビュー＞
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これぞエンタメ！ 笑いと感動の人魚と人間のロマンス
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人魚をネタにしたファンタジーです。話自体はありがちですが、そこはさすが
に『少林サッカー』のチャウ・シンチー監督。あの手この手で楽しめる映画に
仕上げています。
冒頭は海洋開発や研究風景をコンパクトに提示。これが、このドラマの背景に
なっています。続いて登場する入札シーン。若き実業家のリウが、リゾート開
発を目論んで海辺の自然保護区の土地を買収します。リウは美しき社長令嬢が
率いるリゾート会社と手を組みます。その会社は、海洋生物を追い払うために
巨大なソナーを設置しています。
そのソナーに追われたのが人魚族。難破船に陣取った彼らは、リウの暗殺を計
画します。作戦は美しい人魚のシャンシャンを使ったハニートラップ。彼女の
美しさにリウが油断したところで、殺してしまおうというわけです。
などと書くと、大まじめなドラマのように思えるかもしれませんが、そうでは
ありません。前半から笑いの波状攻撃が続きます。まるでドリフターズのコン
トのようなベタな展開や、お下劣ネタも含んだギャグの連続。例えば、下半身
がタコの人魚族のリーダーを使って笑いを取るなど、わかりやすい笑いが続き
ます。
難破船の内部をスケートボードやトランポリンを使って移動したり、巨大なパ
チンコを使って外に脱出したりといった外連味にあふれた仕掛けも楽しさを生
み出しています。そこに暮らす人魚族もユニークな面々が勢ぞろい。特に長老
らしきおばあさんが要所で活躍します。
そんな中、シャンシャンはリウの暗殺に失敗しただけでなく、2人は惹かれあっ
てしまいます。何ともお手軽なラブロマンスではあるものの、「強欲な金まみ
れの男に見えたリウが、実は孤独を背負っていた」といったあたりのツボを押
さえながら、テンポ良く描写。はては2人が掛け合いで歌を歌うミュージカルの
ようなシーンも登場します。なので、ついつい引き込まれてしまいます。
いろんな要素がテンコ盛り。クライマックスにはアクションも用意されていま
す。リウの後ろ盾になっていた社長令嬢と、その配下の研究チームが人魚族に
攻撃を加え、彼らは絶体絶命のピンチに陥ります。そこに登場してシャンシャ
ンを救ったのが、そうあの人物です。
というわけで、ラストはほっこりざせられる後日談。この映画全体を貫く「自
然保護」というテーマも、ここでさらにクッキリと浮き彫りになります。
この映画のヒロインのリン・ユンは、オーディションで選ばれたそうですが、
その初々しさは特筆もの。最初はお茶目な少女の顔をしているのに、ラストで
は立派な美しい女性に成長します。それに合わせて、最初はただの強欲男だっ
たダン・チャオ演じるリウも、最後には素敵な男性に変身しています。このあ
たりの見せ方も、なかなかのものです。
わかりやすい社会派のテーマも背景に込めつつ、ラブロマンスを中心にあの手
この手で観客を楽しませる。まさに、これぞエンタメ映画！という感じです。
そういえば、昔はこういう映画がもっとたくさんあったような気がするのです
が。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（87点）
（田中ひろあき）
2017年1月15日（日）シネマート新宿にて。午後2時35分の回
[「に」のページ]
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