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ノー・エスケープ 自由への国境（DESIERTO）
（2015年 メキシコ・フランス）（上映時間1時間28分）
監督：ホナス・キュアロン
出演：ガエル・ガルシア・ベルナル、ジェフリー・ディーン・モーガン、アロ
ンドラ・イダルゴ、ディエゴ・カターニョ、マルコ・ペレス
＊TOHOシネマズシャンテほかにて全国公開
ホームページ http://desierto.asmik-ace.co.jp/
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＜ストーリー＞
荒涼とした砂漠地帯を1台のトラックが走る。そこには、アメリカに不法入国し
ようとするモイセス（ガエル・ガルシア・ベルナル）たち15人のメキシコ人が
乗っていた。だが、途中でトラックが故障し、彼らは徒歩で国境を越えること
を余儀なくされる。そんな中、突如として銃弾が撃ち込まれ、仲間が犠牲にな
ってしまう。謎の襲撃者（ジェフリー・ディーン・モーガン）はさらに彼らを
狙い、一人また一人と犠牲になる。摂氏50度という過酷な状況の中、武器も通
信手段も持たないモイセスたちは、必死で逃げ延びようとするのだが……。
＜レビュー＞
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緊張感が途切れない不法移民たちの決死の逃走劇
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アメリカに不法入国するメキシコ人たちが、謎の襲撃者から逃げ延びようとす
るサバイバル劇。監督（共同脚本と編集も担当）のホナス・キュアロンは、
『ゼロ・グラビティ』でアカデミー監督賞を受賞したアルフォンソ・キュアロ
ンの息子で、『ゼロ・グラビティ』の共同脚本も担当しました。
『ゼロ・グラビティ』は宇宙でのサバイバル劇でしたが、こちらは砂漠でのサ
バイバル劇。冒頭は砂漠を一台のトラックが走ってくるシーン。その荷台には、
15人のメキシコ人がいます。彼らは、アメリカへの不法入国を目指しています。
ところが、トラックが故障して、彼らは仕方なく徒歩で国境を目指します。
一方、砂漠に謎の男がやってきます。銃を持ち犬を連れた彼は、警官には「ウ
サギ狩り」と言い訳しますが、真の目的は人間狩り。まもなく、国境のフェン
ス（有刺鉄線）を越えた例のメキシコ人に銃弾を浴びせます。1人ずつ殺されて
いくメキシコ人たち。その中で、モイセスは生き残ることができるのか……。
まあ、とにかくリアルさがハンパでない映画です。灼熱の砂漠の中を武器も通
信手段も持たずに逃走するモイセスたちを、リアルな映像で描き出します。例
えば、メキシコ人たちを謎の男の銃の照準越しに映した映像、彼らを追い詰め
るべく全速力で走ってくる犬を低いアングルでとらえた映像など、スリリング
な映像が満載です。おかげで、最初から最後まで緊張感が途切れません。
砂漠の逃走劇と言っても、平地だけではさすがに厳しいところ。そこで岩山や
サボテンなどを効果的に使い、あわやの場面を何度も作り出します。
次々に仲間が殺され、モイセスたちは3人になり、ついに2人になってしまいま
す。それでも隙をついて謎の男の車を奪い、ついに脱出成功！
かと思ったら、そうは問屋が卸しません。その先も何度も危険な場面に遭遇し
ます。終盤はモイセス1人が謎の男と対峙します。そして、岩山でのギリギリの
バトルから余韻の残るラストへ。
モイセスたちの壮絶な逃走劇を見ているうちに、自分もそれを追体験している
ような気分になってしまいました。そのぐらい圧倒的なリアルさと、スリリン
グさを持った映画です。
この映画の背景には、メキシコからアメリカに入国する不法移民をめぐる社会
的テーマがあります。しかし、それを前面に出さず、あくまでもエンターティ
メントとして面白い映画を作ろうとしているのがこの映画の特徴。それが魅力
だと思います。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（85点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2017年5月7日（日）TOHOシネマズシャンテにて。午後12時35分の回
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