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お嬢さん（THE
HANDMAIDEN）
（2016年 韓国）（上映時間2時間25分）
監督：パク・チャヌク
出演：キム・ミニ、キム・テリ、ハ・ジョンウ、チョ・ジヌン、キム・ヘスク、
ムン・ソリ
＊TOHOシネマズシャンテほかにて全国公開
ホームページ http://ojosan.jp/
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＜ストーリー＞
1930年代、日本統治下の朝鮮半島。貧民街で泥棒一味に育てられた少女スッキ
（キム・テリ）は、伯爵を名乗る詐欺師（ハ・ジョンウ）にスカウトされ、彼
の計画を手伝うことになる。それは、莫大な財産の相続権を持つ令嬢・秀子
（キム・ミニ）を誘惑して結婚し、精神病院に入れて財産を奪うというものだ
った。スッキは人里離れた土地に建つ屋敷で、叔父の上月と暮らす秀子のもと
で、珠子という名でメイドとして働き始める。だが、スッキと秀子は愛し合う
ようになり……。
＜レビュー＞
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パク・チャヌク監督らしい変態すぎる官能サスペンス
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『オールド・ボーイ』『親切なクムジャさん』などで知られる韓国の鬼才パ
ク・チャヌク監督。前作『イノセント・ガーデン』は初のハリウッド進出作で
したが、今回は韓国に戻ってメガホンを取りました。原作はイギリス人作家サ
ラ・ウォーターズのミステリー小説「荊の城」ですが、他の誰にも撮れないパ
ク・チャヌク独自の世界を構築しています。
この映画は三部構成。一部は貧民街の少女スッキの目線で、彼女がスカウトさ
れて屋敷に入り込み、令嬢・秀子に接近して詐欺師の計画を後押しする顛末が
描かれます。しかし、その過程で彼女は秀子とただならぬ関係になってしまい
ます。そして、ラストには衝撃の逆転劇が待っています。
続いて始まる第二部。今度は秀子の目線で、幼い頃から彼女がどう育ち、スッ
キと出会い、詐欺師に誘惑されたかが描かれます。しかし、そこで語られるの
は驚きの事実。騙し、騙されるサスペンスの醍醐味が満点の展開です。
それにしても何という美意識に貫かれた世界でしょう。細部にまでこだわり抜
いた衣装や美術、妖しい色彩感覚が全開です。ただし、それは何やら不可思議
な世界。舞台となる屋敷は和洋折衷の豪邸ですが、例えば広大な日本間のとこ
ろどころに庭石が置かれていたりして、現実の日本間とは微妙に違います。秀
子の結う日本髪なども何だかヘン。
パク・チャヌク監督はおそらくわかったうえでやっているのでしょう。日本で
も朝鮮半島でもヨーロッパでもない、あやかしの世界を生み出そうとしている
のだと思います。
その視点からみれば、韓国人俳優たちが使う達者な日本語も、さすがに日本人
から見ればぎこちなさが残り、純粋な日本とは違う世界を現出させています。
そして、官能描写もタップリ（もちろんR-18）。2人の女の絡み合いは、きわめ
て美しく、きわめてエロい。その両者のバランスが絶妙です。
エロには笑いもあります。彼女は叔父（完全な変態！）の主催する希少本の
オークションで、男たちの前で官能小説をいやらしく読み上げ、人形相手に変
なポースまでします。これがエロいのと同時に笑えるのです。
さてさて、最後の三部は、詐欺師の計画が成功したかに見えた後の顛末が描か
れます。そこでは、これまで男どもに操られてきた女たちのたくましくも、美
しい姿が見られます。それに対して、男どもの情けなさ過ぎる運命ときたら…
…。おかげで、ラストの女同士の絡みが、なおさら美しく映りました。
変態すぎる官能サスペンスです。これ、けっしてけなしているのではなく褒め
ているのです。夢に出てきそうな強烈なシーンが、最初から最後まで連続しま
す。こんな映画を作れるのはパク・チャヌクだけでしょう。その世界にどっぷ
り浸かるしかありません。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（90点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2017年3月5日（日）TOHOシネマズシャンテにて。午後1時25分の回
[「お」のページ]
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