|
オリエント急行殺人事件（MURDER
ON THE ORIENT EXPRESS）
（2017年 アメリカ）（上映時間1時間54分）
監督・製作：ケネス・ブラナー
出演：ケネス・ブラナー、ペネロペ・クルス、ウィレム・デフォー、ジュデ
ィ・デンチ、ジョニー・デップ、ジョシュ・ギャッド、デレク・ジャコビ、レ
スリー・オドム・Ｊｒ、マーワン・ケンザリ、オリヴィア・コールマン、ルー
シー・ボイントン、マヌエル・ガルシア＝ルルフォ、セルゲイ・ポルーニン、
トム・ベイトマン、ミシェル・ファイファー、デイジー・リドリー
＊TOHOシネマズ日劇ほかにて全国公開
ホームページ http://www.foxmovies-jp.com/orient-movie/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
エルサレムで事件を解決し、休暇をとろうと思った名探偵エルキュール・ポア
ロ（ケネス・ブラナー）。だが、イギリスでの事件解決を依頼され、豪華寝台
列車オリエント急行に乗車する。出発後まもなく、アメリカ人富豪ラチェット
から、脅迫を受けているからと身辺警護の依頼を受けるが、ポワロはそれを断
る。ところが深夜、雪崩で列車が脱線し、立ち往生してしまう。そして、その
車内でラチェットが何者かに刺殺される。鉄道会社から調査を依頼されたポア
ロは、犯人は乗客の中にいると確信し、聞き込みを開始するのだが……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
アガサ・クリスティーの名作ミステリーをケネス・ブラナーが映画化
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
1974年にもシドニー・ルメット監督によって映画化されたアガサ・クリステ
ィーの名作ミステリーの映画化。監督・主演を務めるのはケネス・ブラナー。
主人公はおなじみの名探偵エルキュール・ポワロ。映画の冒頭で、彼の生き様
を象徴する印象的なエピソードが描かれます。ポワロは朝食の２つのゆで卵の
大きさが違っていることが、どうしても許せません。まさに完璧主義者。そし
て自らも宣言するように、「この世の中には善と悪のどちらかしかない」と固
く信じています。
そんなポワロはエルサレムでの事件を鮮やかな推理で解決。その後は、休暇を
とろうとするものの、イギリスでの事件解決を依頼され、急遽、豪華寝台列車
オリエント急行に乗車することにします。まもなく列車は出発。
しかし、深夜に雪崩で列車が脱線し、立ち往生してしまいます。そして、その
車内で大富豪ラチェットが何者かに刺殺されているのが発見されます。鉄道会
社から調査を依頼されたポアロは、犯人は乗客の中にいると確信し聞き込みを
開始します。
というわけで、名探偵ポワロが疑惑の乗客たちに話を聞くシーンが、このドラ
マの中心です。ケネス・ブラナーの圧倒的な演技力が、ドラマの展開の推進力
になります。
そこに、乗客たちを演じる俳優の演技力が加わって、相乗効果を発揮します。
ミシェル・ファイファー、ペネロペ・クルス、ウィレム・デフォー、ジュデ
ィ・デンチ、ジョシュ・ギャッド、デイジー・リドリーなどなど。
何せ13人もいるので、一人ひとりの登場時間は短いのですが、その中できちん
と自らが背負ったものを表現するのですから、たいしたものです。
最初は彼らにはアリバイがあり、調査は暗礁に乗り上げるかに見えます。しか
し、ポワロの名推理により、彼らの裏の顔が少しずつ明らかになります。
映像的にも見応えがあります。列車が大自然の中を疾走する風景や、高い鉄橋
の上で立ち往生した風景などをはさみこみ観客を飽きさせません。登場人物を
頭上からとらえた映像も印象的。アクションシーンもところどころに用意され
ています。
やがてこの殺人事件には、未解決の少女誘拐殺人事件が関係しているらしいこ
とがわかります。そして、ついに明らかになる驚愕の犯人。それをポワロが告
げるシーンでは、まるで「最後の審判」のように13人を横一列にテーブルを前
に並ばせて、その前でポワロが真相を告げます。見せ場たっふりのシーン。も
ともと舞台役者であるケネス・ブラナーにしかできない演出と演技ではないで
しょうか。
最後に下したポワロの決断では、冒頭近くで彼が宣言した「この世の中には善
と悪しかない」という信念をふまえ、ポワロの人間的成長をスクリーンに刻み
ます。
続編『ナイルに死す』に続くラストも気が利いています。そちらも楽しみです。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（88点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2017年12月10日（日）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時30分の回
[「お」のページ]
|