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おとなの事情（PERFETTI
SCONOSCIUTI）
（2016年 イタリア）（上映時間1時間36分）
監督：パオロ・ジェノヴェーゼ
出演：ジュゼッペ・バッティストン、アンナ・フォリエッタ、マルコ・ジャ
リーニ、エドアルド・レオ、ヴァレリオ・マスタンドレア、アルバ・ロルヴァ
ケル、カシア・スムートニアック、ベネデッタ・ポルカローリ
＊新宿シネマカリテほかにて公開
ホームページ http://otonano-jijyou.com/
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＜ストーリー＞
ある月食の夜、幼なじみの男４人とそのパートナーが集まり、エヴァ（カシ
ア・スムトゥニアク）とロッコ（マルコ・ジャリーニ）夫妻宅で食事会を開く。
ただし、バツイチのペッペは、連れてくるはずの婚約者が来られなくなり、７
人でテーブルを囲む。そんな中、一人があるゲームを提案する。「メールが届
いたら全員の目の前で開くこと」「かかってきた電話にはスピーカーに切り替
えて話すこと」というもので、秘密など何もないという信頼度を確認するため
のゲームだった。平静を装ってゲームを始める7人だったが、ゲームが進むにつ
れて、それぞれの本当の姿が次々と露呈していく……。
＜レビュー＞
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予測不能。スマホを通じて暴露される大人たちの秘密
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イタリアのアカデミー賞に当たるダビッド・ディ・ドナテッロ賞で作品賞、脚
本賞を受賞した作品です。
舞台となるのはある家庭で開かれた食事会。いわゆるワンシチュエーションの
ドラマです。食事会に参加したのは、幼なじみの4人の男とそのパートナー。た
だし、そのうちの1名のバツイチ男は新恋人が熱を出したとかで1人で参加。
映画の冒頭は、彼らが食事会に参加する前の様子が描かれます。そこでそれぞ
れが抱えた事情がチラリと見えます、反抗期の娘との関係に悩む母親、義母に
不満をぶつける嫁、何やら秘密を抱えているらしい夫……。その後の展開を示
唆する内容です。
そして始まる食事会。食事をしながらの会話から、タイトル通りに大人の事情
が少しずつ見え隠れします。とはいえ、まだ決定的な場面には至りません。そ
れが現れるのはあるゲームがきっかけ。不倫メールで破たんしたカップルの噂
話をきっかけに、「俺たちにはそんな秘密はない」ということで、それを確認
するためにスマホを使ったゲームが始まります。全員が食卓にスマホを出して、
届いたメールや電話は全員に公開しようというのです。
そこから出てきたのは各自の意外な秘密。豊胸手術を受けようとしていた妻、
妻に内緒でカウンセリングを受けていた夫、何度も転職しているのにまた転職
を考えている夫などなど。彼氏の家に誘われたという娘からの相談電話なども
かかってきます。
ですが、これはまだ序の口。急展開のきっかけは、不倫相手からのメールが届
くことになっている男が、同じ機種を持つ男にスマホの交換を持ちかけたこと。
この作戦が裏目に出て大変なことになります。男はあらぬ疑惑をかけられて追
い詰められ、妻との関係が危険水域に突入します。その後も、親子の確執や夫
婦間のすれ違い、性的傾向などの様々な問題が浮上してきて、しっちゃかめっ
ちゃかになります。
いったいどんなメールや電話が来て、どんな事態に発展するのか予測不能の展
開。ハラハラドキドキで目が離せません。各自のいろいろな事情が見えてくる
中で、笑いもたくさん生まれてきます。イタリア人らしい陽気さによって何で
もジョークにしてしまうのですが、露見する様々な秘密と相まってブラックな
笑いに発展していきます。
食事会が行われるのが月食の日だというのも、独特の空気感を生み出していま
す。
ラストはついに全崩壊。すべての終わり……かと思いきや驚きの逆転劇が待っ
ていました。ホスト宅夫妻の夫ロッコが言った最後の言葉が説得力満点です。
大人はだれしも人に知られたくない秘密を持っている。むやみにそれに触れな
いほうがよいのだと。
スマホを使ったユニークな仕掛けが技アリの映画。スマホに慣れ親しんだ人に
とっては、ホラー的な要素もあるブラック・コメディーです。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（85点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2017年3月22日（水）新宿シネマカリテにて。午前11時30分の回
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