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アウトレイジ 最終章
（2017年 日本）（上映時間1時間44分）
監督・脚本・編集：北野武
出演：ビートたけし、西田敏行、大森南朋、ピエール瀧、松重豊、大杉漣、塩
見三省、白竜、名高達男、光石研、原田泰造、池内博之、津田寛治、金田時男、
中村育二、岸部一徳
＊丸の内ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://outrage-movie.jp/
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＜ストーリー＞
関東の山王会と関西の花菱会という暴力団同士の巨大抗争が集結した後、大友
（ビートたけし）は韓国へ渡り、日韓を牛耳るフィクサーの張会長（金田時
男）のもとにいた。ある時、花菱会の幹部・花田（ピエール瀧）が滞在中の韓
国でトラブルを起こし、張会長の手下を殺してしまう。これがきっかけで、張
会長率いる張グループと花菱会は一触即発の緊張状態に突入する。そんな中、
激怒した大友は手下の市川（大森南朋）を伴い、すべての因縁に決着をつけよ
うと日本へと舞い戻る。ちょうどその頃、花菱会ではトップの座をめぐって幹
部たちによる内紛が始まっていた……。
＜レビュー＞
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ベテラン俳優たちによる怒鳴り合いの面白さ
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ヤクザ同士の抗争を描いた北野武監督・主演の「アウトレイジ」シリーズの最
終作。
前作で展開された関東の山王会と関西の花菱会という暴力団同士の巨大抗争が
集結した後、ヤクザの大友は韓国へ渡り、日韓を牛耳るフィクサーの張会長の
もとにいます。冒頭は、彼が手下の市川と釣りをするシーン。大友は明らかに
暇をかこっています。
そんな中、花菱会の幹部・花田が滞在中の韓国でトラブルを起こします。そこ
に登場したのが大友。「落とし前をつけろ」と言う花田に、逆にド迫力ですご
み、金を払わせることで決着に持ち込みます。ところが、大友の素性を知らな
い花田は、約束を反故にして子分に張会長の手下を殺させてしまいます。これ
がきっかけで、張会長率いる張グループと花菱会は一触即発の緊張状態に突入
します。
一方、花菱会では新たに会長となっていた元証券マンの野村が、若頭の西野を
嫌悪して、若頭補佐の中田を焚きつけて西野を殺させようとします。内部抗争
の幕開けです。
そこに市川を連れて帰国したのが大友です。前作と本作で抱えた様々な恨みを
晴らすべく、彼は行動を開始します。
大友の基本にあるのは、いわば義理人情を重んじる古い気質のヤクザです。冷
酷非道に人を殺すが、それも自己の利益のためではなく、彼なりの理屈があっ
てのものです。それに対して、抗争を繰り返す既成のヤクザたちは、自分や組
織の利益のために行動します。そこから両者の軋轢によるバイオレンスが生ま
れてきます。
ただし、過去作以上にバイオレンスの色彩は強くありません。それよりも言葉
の応酬が中心。登場するヤクザたちは、常に誰かを罵倒し、脅かし、なだめす
かし、懐柔しようとします。そのあまりに大げさな言動が、笑いさえ引き起こ
します。
それらを通して伝わってくるのは、ヤクザの怖さよりも、滑稽さや愚かさです。
観ているうちに、「コイツらしょーもないなぁ」とあきれて苦笑してしまいま
す。だが、次の瞬間、ヤクザたちが繰り広げている抗争劇の構図は、考えてみ
れば一般企業や様々なコミュニティーなどにも共通するものであることに気づ
き、そのことにまた苦笑してしまうのです。
何しろヤクザを演じるのは、日本を代表する実力派のベテラン俳優たち。ビー
トたけし、西田敏行、大杉漣、塩見三省、岸部一徳などなど。彼らの競演を見
ているだけでも楽しい映画です。
当然ながらバイオレントなシーンも登場しますが、様式美に沿っていたり、大
げさだったり、滑稽な仕掛けを施しているので、凄惨さは感じられません。
ラストシーンは最終作らしいもの。あれはやはり、昔気質の古いヤクザが消え
ていく姿を現しているのでしょうか。
傑作と言うほどのものではないにしても、バイオレンスや笑い、映画愛、過去
の北野映画のエッセンスなどが散りばめられた興味深い映画です。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（84点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2017年10月8日（日）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時40分の回
[「あ」のページ]
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