PARKS パークス


(2016年 日本)(上映時間1時間58分)
監督・脚本・編集:瀬田なつき
出演:橋本愛、永野芽郁、染谷将太、石橋静河、森岡龍、佐野史郎、柾木玲弥、
長尾寧音、麻田浩
*テアトル新宿ほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://www.parks100.jp/
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<ストーリー>
井の頭公園のそばにあるアパートに住む女子大生の純(橋本愛)のところに、
見知らぬ女子高生ハル(永野芽郁)が突然訪ねてくる。亡き父・晋平について
小説を書くために、晋平の恋人・佐知子の消息を求めて、彼女の住んでいた住
所にやって来たというのだ。純は佐知子探しを手伝うことにする。やがて2人
は佐知子の孫トキオ(染谷将太)と出会い、佐和子が亡くなったことを知らさ
れる。数日後、トキオは祖母の遺品の中からオープンリールテープを発見する。
再生してみると若い頃の晋平と佐知子の歌声が入っていた。興奮した3人は、
劣化して途中で切れているその曲を完成させようとするのだが……。

<レビュー>
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井の頭公園100周年を記念した青春音楽ドラマ
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東京にある井の頭恩賜公園(井の頭公園)の開園100周年を記念して製作された
映画。井の頭公園と吉祥寺の街を舞台に、50年前に恋人たちが作った曲と、現
代に生きる3人の若者たちがつながっていく様子を描いた青春音楽ドラマです。

主人公は公園そばのアパートに住む純という女子大生。彼氏にフラれ、留年の
危機も迫り、大変な状況の中、ハルという謎の女子大生と出会います。彼女は
亡くなった父・晋平のことを小説に書きたいと思い、父のかつての恋人・佐和
子が当時住んでいたアパートを訪ねてきたというのです。

それが純の住むアパートというわけ。しかし、それにしてはきれいすぎ。50年
前からあるアパートにはとても見えません。おまけに出会ったばかりの純とハ
ルがすぐに親しくなって、一緒に佐和子探しを開始しただけでなく、挙句は一
緒に住むのも都合よすぎです。そんなふうに、ご都合主義が目に付くドラマで
す。

ただし、前半はそれを上回る魅力があります。純とハルは佐知子の消息を探る
うちに、彼女の孫トキオと出会います。佐和子は亡くなっていたものの、トキ
オはまもなく彼女の遺品からオープンリールテープを発見。そこには若い頃の
晋平と佐知子の歌声が入っています。ただし、テープが劣化して途中で切れて
います。そこで、3人はその曲を最後まで完成させようとします。

50年前の1本のテープに録音されたラブソングを、現代の若者たちがよみがえら
せることで、過去と未来をつなぐ発想が秀逸。3人の若者は曲を仕上げるために、
公園の音を録音したり、当時の出来事を調べたり、50年前の恋人たちの心情に
思いをはせたりと奮闘します。

そんな彼らの姿を、瀬田なつき監督が軽快に、生き生きと、そしてユーモラス
に描写します。3人のセリフはまるでアドリブのように自然。それもまた青春映
画としての瑞々しさを際立たせます。

若者たちが完成を目指す曲をはじめ、劇中の楽曲も魅力的です(音楽監修はト
クマルシューゴ)。もちろん井の頭公園や吉祥寺の風景もふんだんに織り込ま
れています。特に井の頭公園の四季折々の豊かな表情が素晴らしい。

映画の後半は、吉祥寺で開催される音楽フェスに純たちが出演して、そこで例
の曲を披露することになります。

ただし、青春映画としての魅力は失速してしまいます。何だかいろんなものが
ごちゃごちゃと登場して、まとまりがありません。ありきたりの青春映画にし
たくないという意図はわかるのですが、とっ散らかってグダグダになってしま
った印象です。

それでも例の曲に乗って、いろんな人たちが踊るMV風の映像などは盛り上が
ります。井の頭公園や吉祥寺の街の魅力は十分に伝わってきました。そういう
意味では一見の価値がある映画といえるかもしれません。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
(76点)

                                 (田中ひろあき)

〔鑑賞データ〕
2017年5月10日(水)テアトル新宿にて。午後1時50分の回


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