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パーフェクト・レボリューション
（2017年 日本）（上映時間1時間57分）
監督・脚本：松本准平
出演：リリー・フランキー、清野菜名、小池栄子、岡山天音、余貴美子、丘み
つ子、螢雪次朗、林和義、池端レイナ、森レイ子、石川恋、榊英雄
＊TOHOシネマズ新宿ほかにて全国公開
ホームページ http://perfect-revolution.jp/
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＜ストーリー＞
幼少期に脳性マヒを患い、手足を思うように動かせず車椅子生活を送るクマ
（リリー・フランキー）。自身もセックスが大好きなクマは、障害者の性への
理解を訴えるための活動を続けていた。そんなある日、彼の講演を聞いた風俗
嬢のミツ（清野菜名）がたちまち恋をして、なりふり構わず猛アタックをかけ
てくる。長年クマを介助する恵理（小池栄子）の応援を受けながら、少しずつ
愛を育むクマとミツだったが……。
＜レビュー＞
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障害を抱えた2人の明るくポップなラブストーリー
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障害者2人を描いたラブストーリーです。主人公のクマは幼少期に脳性マヒを患
い、頭と口はしっかりしているものの、手足を思うように動かせず車椅子生活
を送っています。
冒頭で彼は、書店の女店員に高い場所にある本をとらせて、スカートの中を覗
いています。クマは女の子への興味も性欲も旺盛。世間の障害者に対する誤解
を解こうと、「障害者だって恋もするし、セックスもしたい」と訴えるための
活動を続けていたのです。
そんなクマが自身の著書のＰＲイベントで講演をしていると、そこにミツとい
う女がやってきて、刺激的な質問をします。それに対するクマの受け答えに共
感した女は、たちまちクマに恋をして、なりふり構わず猛アタックをかけてき
ます。
ミツのクマへのアタックぶりは常軌を逸しています。クマの戸惑いをよそにス
トーカーまがいの攻勢をかけてきます。実は、彼女は人格障害で風俗嬢をして
いたのです。
障害を抱えた2人の恋などというと、重たくシリアスなドラマだと思うかもしれ
ませんが、この映画はまったく違います。ミツの異常なはしゃぎ方が笑いを誘
うこともあって、ラブコメ風で、ポップで、テンポの良いラブストーリーが展
開されます。
口ではラジカルなことを言いつつも、基本は常識人のクマ。それに対して、世
間の常識など度返しして「2人で完全な革命を目指す！」というミツ。
長年クマを介助する恵理の応援を受けながら、2人が少しずつ距離を縮める様子
がキラキラした輝きとともに描かれます。現実から少し足を浮かせたファンタ
ティックな要素もあります。もちろん障害者差別などの場面もありますが、暗
い方向に流れることはありません。障害のことなど忘れて、ごく普通の男女の
ラブストーリーに思えてきます。
とはいえ、2人が障害者であることは紛れもない事実。後半はその影の部分がク
ローズアップされてきます。
クマの実家での法事で、クマとミツは世間というものを思い知らされます。テ
レビ取材を受けることになった2人は、いわゆる「期待される障害者像」に違和
感を持ちます。こうして重たい現実を突きつけられます。
そんな中で、ミツは次第にコワれていきます。彼女の過去なども明らかになっ
て、ドラマはカオスに陥っていきます。
クマとミツが踊る最後のダンス。それを通して、2人の成長を物語って余韻を残
したままドラマは終わるのかと思いきや、その先には驚きの結末が待っていま
す。前半の明るくポップでファンタジックなタッチから考えて、ああいう結末
にするのは悪くないと思いますが、ちょっとゴタゴタしすぎています。もう少
し整理したほうがよかったのでは？
とはいえ、全体を通してみれば期待以上に面白い映画でした。ことさらに障害
だけをクローズアップするのではなく、「欠点だらけの2人の恋愛」という普遍
的なドラマに昇華されているところが素晴らしい。主演のリリー・フランキー、
ミツを演じた清野菜名、2人の間を取り持つ恵理役の小池栄子の演技も印象的で
した。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（88点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2017年10月2日（月）TOHOシネマズ新宿にて。午前10時30分の回
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