スノーデン(SNOWDEN)


(2016年 アメリカ)(上映時間2時間5分)
監督:オリヴァー・ストーン
出演;ジョセフ・ゴードン=レヴィット、シェイリーン・ウッドリー、メリッ
サ・レオ、ザカリー・クイント、トム・ウィルキンソン、スコット・イースト
ウッド、リス・エヴァンス、ニコラス・ケイジ
*TOHOシネマズみゆき座ほかにて全国公開
ホームページ http://www.snowden-movie.jp/
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<ストーリー>
軍への入隊を志願したものの、訓練で負傷し除隊を余儀なくされた青年エド
ワード・スノーデン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)。その後、コンピ
ュータの知識を生かしてCIAの採用試験に合格し、指導教官コービン・オブライ
アンからも一目置かれる存在になる。一方プライベートでは、SNSで知り合
ったリンゼイ・ミルズ(シェイリーン・ウッドリー)と親しくなる。そんな中、
ジュネーヴのアメリカ国連代表部に派遣された彼は、全世界の個人情報が監視
されている事実を知り愕然とする……。

<レビュー>
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アメリカの闇を内部告発した青年の人物像に迫る
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2013年6月、イギリスのガーディアン誌が報じたスクープによって、アメリカ政
府が極秘に構築した国際的監視プログラムの存在が発覚し、世界を驚かせまし
た。要するに犯罪人でなくとも、世界のすべての人の個人情報が監視されてし
まう恐ろしいプログラムです。その情報をリークした元NSA(アメリカ国家安全
保障局)の職員であるエドワード・スノーデン青年の実話をもとに、オリヴ
ァー・ストーン監督が描いたドラマです。

冒頭は、香港のホテルでガーディアン誌の記者やドキュメンタリー作家と落ち
合ったスノーデンが、いよいよ情報を提供するところ。そして、そこから過去
の彼の人生が語られ始めます。

2004年に軍への入隊を志願したスノーデンですが、訓練で足を負傷し除隊しま
す。その後、コンピュータオタクの特徴を生かして、CIAの採用試験に合格しま
す。そこで出会ったのが指導教官のオブライアン(リス・エヴァンスがいい味
出しています)。彼に目をかけられたスノーデンは、重要な仕事をするように
なります。

一方、プラスベートでは、SNSで知り合ったリンゼイ・ミルズという女性と恋人
になります。国家に忠誠を尽くしたいと思っていたスノーデンに対して、リン
ゼイはリベラル派で当時のブッシュ政権に反対しています。そんな彼女にス
ノーデンは大きく影響を受けるようになっていきます。

スノーデンは、スイスにあるアメリカの国連代表部や日本での勤務を続けるう
ちに、NSAの極秘検索システムの存在を知ります。政府はそれを使った情報収集
を行っています。その実態を目にしたスノーデンは一度CIAを退職するものの、
今度はIT企業の出向者としてNSA(米国国家安全保障局)の仕事をするようにな
り、ハワイで勤務します。そうした中で、ついに情報を暴露することを決意し
ます。

オリヴァー・ストーン監督といえば、社会派の硬派な映画を撮ることで知られ
ていますが、実はエンタメ性豊かな作品もたくさん撮っています。この映画も
基本はエンタメ映画です。前半から中盤にかけては、スノーデンの人物像に焦
点を当て、恋人のリンゼイとの関係も織り込みながら、もともと国家に忠誠を
尽くしていた彼が、どうして機密情報を暴露するに至ったかを描きます。

一方、終盤は現在進行形と過去の2つのドラマがスリリングに交錯します。現在
進行形のドラマでは、スノーデンがマスコミに情報提供し、それがギリギリの
せめぎあいの中で公開され、その結果彼は政府のお尋ね者になってしまいます。
過去のドラマでは、周囲の目を盗んで情報を外部に持ち出そうとするスノーデ
ンが描かれます。そこでは、彼が映画の冒頭で手にしていたルービックキュー
ブが効果的に使われます。

そのあたりでニコラス・ケイジ演じるCIA職員が、スノーデンの行動に快哉を叫
ぶのが、いかにもエンタメ映画らしい部分。その他にも、様々な見せる工夫が
施されています。

ラストは、ロシアに亡命したスノーデンがネット中継に登場するシーン。そし
て、彼のおかげで少しは状況が改善されたこと、それにもかかわらず彼は今も
アメリカに帰れないことが告げられます(リンゼイもロシアに渡った)。

ヒューマンドラマやサスペンス、ラブストーリーなど様々な要素を持つエンタ
メ映画であると同時に、権力の暴走に対する警鐘を鳴らす社会派の側面も持つ
観応え十分の映画です。何よりも、スノーデンになりきったジョセフ・ゴード
ン・レヴィットの演技が見事。変な言い方ですが、本人より本人らしいと思え
るほどの演技でした。

≪ぽちの満足度≫

★★★★☆
(91点)
                             (田中ひろあき)

〔鑑賞データ〕
2017年2月1日(水)TOHOシネマズ新宿にて。午前9時50分の回


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