|
Ｔ２ トレインスポッティング（T2 TRAINSPOTTING）
（2017年 イギリス）（上映時間1時間57分）
監督：ダニー・ボイル
出演：ユアン・マクレガー、ユエン・ブレムナー、ジョニー・リー・ミラー、
ロバート・カーライル、ケリー・マクドナルド、シャーリー・ヘンダーソン、
ジェームズ・コスモ、アンジェラ・ネディヤルコーヴァ、アーヴィン・ウェル
シュ、アイリーン・ニコラス、ポーリーン・リンチ
＊新宿ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://www.t2trainspotting.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
スコットランドのエディンバラ。かつて仲間たちを裏切って大金を持ち逃げし
たマーク・レントン（ユアン・マクレガー）が、20年ぶりにオランダから帰郷
する。かつての仲間のスパッド（ユエン・ブレムナー）は妻子に愛想を尽かさ
れ、シック・ボーイ（ジョニー・リー・ミラー）はパブを経営しながら売春や
恐喝で稼いでいた。そして、ベグビー（ロバート・カーライル）は刑務所に服
役中。相変わらずな悲惨な人生を送る４人だったが……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
前作同様のタッチで中年男たちの悲哀や焦りを描く
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
1996年製作のイギリス映画『トレインスポッティング』は、閉塞感漂う社会を
背景にドラッグと犯罪に走る若者たちを、ポップな映像と音楽で綴ったアバン
ギャルドな青春映画。日本でも大ヒットしました。それから20年。まさかの続
編登場です。しかも、ダニー・ボイル監督、脚本のジョン・ホッジ、主演のユ
アン・マクレガーなど主要スタッフ、キャストが再結集した奇跡のような映画
です。
前作のラストで仲間たちを裏切り、麻薬取引で得た大金を持ち逃げしたマー
ク・レントン。オランダにいた彼が20年ぶりに故郷のエディンバラに帰ってき
たところから、ドラマが動き出します。実家では母はすでに亡くなり、年老い
た父親が一人暮らし。
そして、かつての仲間はダメダメでグダグダな日々。ドラック漬けだったスパ
ッドは妻子に愛想を尽かされ、自殺を考えています。シック・ボーイはパブを
経営しながら美人局のようなことをしています。そして一番血の気の多いベグ
ビーは刑務所に入っています。
映画全体のタッチは前作と同じ。ぶっ飛んだ映像、前作でも効果的に使われた
イギー・ポップ、アンダーワールドをはじめ新旧様々なアーティストによる音
楽など、アバンギャルドな世界観は健在です。毒に満ちた笑いも満載。20年前
と変わらないダニー・ボイルの若々しい演出は驚異的でさえあります。
とはいえ、さすがに年をとったかつての若者たち。冴えない日々なのは昔と同
じでも、昔のような若さや未来への可能性はありません。そこには中年の悲哀
や焦りがにじんでいます。シック・ボーイの彼女だという東欧から来た女が、
マークにこう言うシーンがあります「あなたたちは過去に生きている」と。
昔の輝きを取り戻そうとばかりに、マークはシック・ボーイと組んでひと儲け
しようとします。しかし、なかなかうまくいきません。そのダメダメさとポッ
プなタッチのコントラストが絶妙の味を生んでいます。
そんな中、刑務所を脱走したベグビーは、大金を持ち逃げした宿敵マークの帰
郷を知り激怒します。
というわけで、終盤はついにマークとベグビーの対決。それにスパッドが書い
た小説が絡み、脇役だと思っていたシック・ボーイの彼女が重要な役割を果た
すケレン味にあふれた展開。観終わって思わず拍手しそうになりました。
前作の良さをきっちり押さえつつ、それ以上にドラマに深みが生まれています。
続編として大合格の映画。前作のファンも、これなら大満足では？
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
（93点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2017年4月10日（月）新宿ピカデリーにて。午前11時20分の回
[「アルファベット」のページ][「て」のページ]
|