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ユダヤ人を救った動物園〜アントニーナが愛した命〜
（THE ZOOKEEPER'SWIFE）
（2016年 チェコ・イギリス・アメリカ）（上映時間2時間7分）
監督：ニキ・カーロ
出演：ジェシカ・チャステイン、ヨハン・ヘルデンベルグ、ダニエル・ブリ
ュール、マイケル・マケルハットン、イド・ゴールドバーグ、ゴラン・コステ
ィッチ
＊TOHOシネマズ みゆき座ほかにて全国公開
ホームページ http://zookeepers-wife.jp/
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＜ストーリー＞
1939年、ポーランドのワルシャワ。アントニーナ（ジェシカ・チャステイン）
は、夫のヤン（ヨハン・ヘルデンベルグ）とともにヨーロッパ最大規模のワル
シャワ動物園を運営していた。そんな中、ドイツがポーランドに侵攻し、第二
次世界大戦が勃発する。動物園の存続は危機に瀕し、ヒトラー直属の動物学者
ヘックが希少動物を連れ去る。一方、ユダヤ人がゲットー（ユダヤ人強制居住
区）に連行されるのを見た夫婦は、彼らを動物園に匿おうと考える……。
＜レビュー＞
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愛と勇気でユダヤ人の命を守った女性の知られざる実話
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ナチス占領下のポーランドで、300人ものユダヤ人の命を救った夫妻の実話をも
とにしたお話です。監督は『クジラの島の少女』のニキ・カーロ。
1939年、ポーランドのワルシャワにあるワルシャワ動物園。ヨーロッパ最大規
模のこの動物園を運営するのは、ヤンとアントニーナの夫妻。
アントニーナは心から動物をかわいがり、動物に尽くしています。それが冒頭
近くの朝の動物園の見回りシーンと、自らの危険も顧みずに瀕死の子象を救う
シーンから伝わってきます。
まもなくドイツがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発します。動物園
は爆撃されて多くの動物が亡くなります。さらに、ナチスの方針によって動物
園の存続は危機に瀕します。
そんな中、ナチスはユダヤ人をゲットー（ユダヤ人強制居住区）に連行します。
それを見たヤンはアントニーナに「この動物園を隠れ家にする」という提案を
します。最初は驚いたアントニーナも提案を受け入れ、協力してユダヤ人たち
を動物園に匿おうとします。
そこでヤンは面白い作戦を考えます。動物園を養豚場にして、その餌の残飯を
ゲットーから運ぶ隙にユダヤ人たちを動物園に連れてきます。そして、動物園
の地下室の動物用の檻を寝床にしてもらい、園内に駐在するドイツ兵の目を欺
くために様々な工夫をします。
とはいえ、危険なことに変わりはありません。ナチスに見つかれば、アント
ニーナたち家族も命がどうなるかわかりません。そうした展開をスリリングに
描くとともに、アントニーナの行動の源泉を正攻法から描いていきます。
それはズバリ、愛と勇気です。危険を冒しても動物の命を救うアントニーナの
愛は、ユダヤ人にも注がれます。そのために勇気を持って彼らを守ります。彼
女にとって、命はどれも大切なものであり、そこに分け隔てはないのです。
終盤は、ホロコーストの犠牲になったコルチャック先生（作家・教育者として
も知られるポーランドの偉人だそうです）や、民衆による武装蜂起のエピソー
ドなども盛り込みつつ、アントニーナにとってギリギリの場面を映し出してい
きます。
エンディングに描かれるのは戦後の後日談。そこでは大きなサプライズが用意
されています。実に感動的なラストです。
アントニーナを演じたのはジェシカ・チャステイン。強烈な個性の女性を演じ
た『女神の見えざる手』とは一転して、今回は優しく、聡明で、その中に芯の
強さを秘めた女性を好演しています。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（86点）
（田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2017年12月26日（火）TOHOシネマズ みゆき座ほかにて鑑賞。午後12時55分の回
[「ゆ」のページ]
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